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エーブラム殿下




試験が終わり、トックスは宮殿の中にいた





「エーブラム殿下、失礼します」





「トックス、今年の受験者はどうだった?」





「まぁまぁですね

突出している者は2名ほどいましたが....」





「アメリアとシャーロット=ベル=フィンガーだな」





「ご存知でしたか」





殿下はフフと笑い、トックスは驚きの表情を浮かべた。





「2人の抜きん出ていたからな

ところで、2人の今までの経歴は?」





「まずアメリアですが、幼い頃に孤児院で捨てられ育ち現在は小さな魔法診療所を営んでおりました。近くの森に魔法騎士団が魔物退治をした時に偶然そこに居合わせ、1人でゴブリンの群れを倒したので今回推薦しました」





「その話は聞いている本当に偶然なのか?」





「だと思われます。アメリアは貴族嫌いで今回の試験もわざと落ちようとしていましたから」





「なるほどな...

次はフィンガー男爵家の娘だな

貴族の娘が騎士とは珍しい」





「シャーロット=ベル=フィンガー

フィンガー商店を営んでいる家の者でその功績が認められ10年ほど前に爵位を賜った家の者です」





「この国の者が皆が知っている大商店を営んでいる貴族の娘か....苦労が多そうだな」





この国の貴族たちは商売は卑しいものと考えている。そのため商売をやっている家の者は、貴族社会では軽く見られることが多い。





「シャーロットは騎士として功績を積み、家の階級を上げるために騎士になりたいそうです」





「爵位が上がればその分、軽く見られないからな。それが1番の近道か」





「左様です。ところで殿下」





「なんだ?」





「本当にあの2人にあなた様が王子であることを伝えるつもりですか?」






「反対か?」






「反対です。もし王妃様があなた様の正体を知ったらまたお命を奪おうとするでしょう」





「もう何回も狙われているさ

それに俺だって考えがない訳じゃない」




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