表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/55

Phase2-2 発覚! 食堂キッス

「あの赤い子と……キスしてたよね?」

「!?」


リョウとのキスが、カスミにバレたサユリ。北附は、恋愛禁止ではないが、サユリにとっては、弱みを握られたも同然だった。


「何で知っているの……!?」

「ちょうど見ちゃっていたのよね。いやー、あっついキスだったねー^^」


サユリが赤面し、手を振り続ける。


「まだ言わないでよ!?」

「まだ言わないよー(言うには早すぎるし)」


カスミは、少し視線を外して、そう約束した。




一方で、1年5組。


「ちょ、リョウ……昨日、会長に呼び出されてたけど何があった!?」

「まぁ、"そういう事"だったな」

「ぐわぁぁぁぁぁ! 狙ってたのにぃぃぃぃぃ!!」

「おいおい……まぁ、先手必勝と言ったところか。俺が打った手ではないが」


リョウが、ハヤトにブイサインを見せ付け、若干口角を上げた。目は笑っていないが。


「めっちゃ腹立つなぁ……」


ハヤトは、そんなリョウをしかめっ面で見ていた。




昼休み。唐突に雨が降り、食堂で弁当を食べる望団とミヅカ。


「兄貴、ここで……キスしたの?」


唐突に、ミヅカが昨日の件の事を聞いてきた。


「ブフォッ!?」

「うわぁ!? タクミ!? カツ丼噴いちゃったよ!?」


ミヅカの発言に、食べていたカツ丼を噴き出したタクミ。


「げふぉっ……いや、お前、彼女いるのかよ!?」


むせながらも、事の真相を聞き出そうとするタクミ。


「まぁ、な」

「嘘だぁぁぁ……」


頭を抱えながら、ブリッジの状態になったタクミ。


「あらら……。取り敢えず、掃除しておいてね? タクミくん?」

「ハイ……」


思考停止した状態で、返事をするタクミ。


そんな有様を、食堂にいた全員が見ていた。気持ち悪がる者、腹を抱えて笑う者、食欲をなくしたのか、返却口に食べかけの丼を持っていく者と様々だった。


(皆に言わないと…………やっぱりダメですよね……)



少し時間が経ち、リョウとサユリは、2人きりで雨の中の巨大階段で話をしていた。リョウが差しているのは、2人が入りきるサイズの傘だ。2人は、その中で話している。


「大きな傘ですね」

「ミヅカは天気を読めない。昼から雨が降ることなどは知らない。その時の為の者だ」

「あら、そうですか。それはともかく、どうしてここに呼び出したのですか?」

「聞きたいことがあったからだ」

「ここで話さくても……」

「雨は……まぁ、なんとなく好きだ。夜には適わないけどな」


そう言って、傘をサユリに渡し、何故か雨に打たれに行くリョウ。


「雨に濡れる。それが、雨というものの真価だと、俺は思っている」

「風邪引きますよ……?」

「寒さとかで、俺は風邪を引かない。というか、寒いと元気になる」

「暑いと……?」

「まぁ……結構危険だな。話に移る」


サユリの方を向き、リョウはこう言った。


「何故……食堂で"あの事"を言わなかった?」


昼食の時、サユリは、「リョウと付き合っている」ということに触れていなかった。


「……ぃからです」

「雨の音のせいかは分からないが、声が小さすぎて聞こえなかった」


そう言われたサユリは、傘を投げ捨て、理由を再び言った。



「バレたくないからですっ!」



「何故だ」

「何故って……」

「――――何故だ」

「それは……まだ言えません」

「そうか……。と言うか、何故、俺に対して敬語を使う?」


サユリは、これまで望団の団員らには、必ずと言ってもいい程、敬語を使っている。


「敬語じゃないと……不安なんです。親友にはあまり使っていないのですが」

「親友>彼氏……か」

「そういう訳では無いのですが…………そうなのかもしれませんね」


サユリが、その場から立ち去った。


リョウも、投げ捨てられた傘を拾って、校舎の中へと入っていく。


(何かあるのだろうな…………)


何かがある。リョウは、そう察していた。



「ほーう……面白いことになってるね」


何人かの生徒が注目しているが、その中で、カメラを構えた者もいた。




放課後の対策拠点室。そこに、サユリの姿はない。


「あれ? 会長は?」

「何で居ないの?」


いつもは居るのに、今日は居ないサユリ。


「――やっぱりか。何かあるに違いない」


やっぱりか。リョウはサユリに何かがあるとそう確信した。


「やっぱりって?」

「今日の昼食だ。その時、サユリは俺と付き合っているということを全く口にしなかった」


『はぁ!?』

「いや、彼女って、会長かよ!?」

「ちょっと、あんた! 何を言っているの!?!?」

「リョウ!?!?!? 嘘でしょ!?!?!? 私と結ばれる運めiグファァァ!!」


リョウがミユにデコピンをかまして、続けてこう言った。


「それについて、昼食後に本人に聞いた。その答えが『バレたくないから』らしい」

「何それ?」

「知るか。それで、今回の活動だが、"サユリの親友"と接触することから始める。そいつに出会えば、サユリの本心が分かるだろう」

「どうしてそう言えるの?」

「サユリは、普段、俺たちに敬語を使っている。だが、その"親友"にだけは使っていないと、本人が言っていた」

「じゃあ、今日の活動は決定だね」


ということで、"サユリの親友"を探しに行くことにした。




「先生に聞いてきたけど、どうやら3年3組の"下田カスミ"って人がそうらしいね」


ミユがリョウの元へ駆けつけ、報告した。


「そいつは今、どこにいる?」

「写真部って言っていたね」


この学校には、写真部と、それに付属する新聞部がある。その2つは、教室棟Cにある"北附ギャラリー"で活動している。


「そこに行くか」


ということで、望団総出(ミヅカ含む)でギャラリーへと向かうことになった。




ギャラリー。ここには、写真部が撮った写真や、過去の新聞、そして、これまで北附の部活動で手に入れたトロフィーや賞状が飾られていた。それらの飾り方も、回転したり、宙吊りと様々だ。


「あそこにいるのは……カスミ……さん?」


窓際に立つ、黒い髪でショートカットの女子。外を見ている。


「望団……部活に用? それとも、私に用?」


彼女は振り向き、そう言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ