Phase2-1 告白! 上村サユリ
「私と付き合ってください!!!!!」
「!?」
いきなりの告白。あまりの急展開に、リョウの頭の中は混乱していた。
(何故俺に……!? 俺以外にも人間は幾らでも……)
「何故……俺に……?」
突然の、自分への告白の理由を聞く。
「本当にいきなりですみません。密かに抱いていましたが、リョウくんは、本当に背が低いし、かなり人見知りな性格だったりしますけど……」
「ちょっと、どういうつもりだ……で、何なんだ?」
「本心は、ミヅカさんと接している時を見る限りで考えると、『みんなと仲良くして、つまらない学校生活から、楽しい学校生活にしたい』と思っているんじゃないかな、って……」
サユリがそう言った瞬間、リョウが俯き、目を抑えた。
「…………そうかもな。というか、よくそんな事に気付いたな」
「分かりますよ。人の心を読むのは、大の得意ですから」
「ふっ……そうか。そうならば、直ぐにバレるよな」
リョウが、少しだけ笑った。サユリが微笑み、顔をリョウに近付ける。
「それで、そう思う内に、リョウくんのことが好きになったのです。だから……答えを……」
互いの顔の距離は、現在30cm。少しだけ、サユリの息遣いが荒れている。
「隠してきた……いや、隠せていなかったか……。そんな俺の心を読み切ってくれたのは、お前が初めてだ。そんなお前となら…………だから………………」
リョウが、俯いた顔を上げて、サユリに接近し…………
「死ぬまで、一緒に過ごしていたい」
互いの顔の距離は0cm。接地面は、互いの唇だった。
「リョウくん……。ありがとうございます……。私は今、人生で1番幸せな時間を過ごしていると思います……!」
「まさか、俺にこんな関係が……それも、サユリとか。本当に、何が起こるか分からないな。人生っていうものは」
「もう少しだけ、口付けをしていたいです……」
「分かった。満足するまで、付き合ってやる」
再び、唇を重ね合わせる2人。いつしか、互いに舌を入れ合うようになっていた。
「リョウくんっ……」
「サユリ……っ」
「大好きです……っ!」
「俺もだ……!」
絵に描いたようなムードに包まれる2人。だが、それを捉えていた『カメラ』があった――――。
その事は、2人はまだ知らない。知る由もなかった……。
帰りの電車の中。サユリは、頭の中で人生設計を練っていた。
(そうですね……。リョウくんが大学を卒業したら、すぐに結婚して、子供を作って、幸せな家庭を築いて……。考えることが多すぎますねぇ……)
「うへへへへ……」
「何よだれ垂らしているんだ!?」「漫画みたいな垂らし方だぞ」「やばいぞ、床に付いてしまうぞ!?」
本人は気付いていないが、サユリは、相当の量のよだれを垂らしていた。乗客は、その姿にドン引きしていた。
帰宅したリョウは……
「ミヅカ、重大な話がある」
「何事ォ!?」
向かい合わせに座る双子。そして、話が始まった。
「まさか、こうなるとは思わなかった。だが、俺は……」
「おうふ」
ミヅカが、テーブルの上にあるお茶を飲み始める。
「サユリと付き合うことになった」
リョウがそう言った瞬間、ミヅカが口に含んだお茶を噴き出した。
「え!? か、会長と!? どどどどういうこと!? ちょ、何で!? えぇ!?」
ミヅカの目線の焦点が合っていない。その瞳は、震えている。
「しょしょしょ詳細をぉ!? ぇマジで待って!? えぇ!? いやいやいや……」
「落ち着け。深呼吸しろ」
「う、うん。スゥゥゥゥ…………」
リョウの指示に従い、ミヅカが深呼吸をする。
「ふぅ……。さて、話を……」
ミヅカが太腿を叩き、胡座をかく形で話を聞く。
「どうやら、お前と接する俺を見て、本来の俺の性格を読み解き、それで好きになったと」
「それで……?」
「理解してくれるというのなら、一緒にいてもいいのだろうなと思った」
「キスは……?」
「――――した。舌も入れた」
「うぼぁぁぁ……」
キス。その単語を耳にしたミユが、どこか遠い世界へと意識が飛んで行ってしまった。
「おーい? 全く……そんなに気を失うことではないだろ……」
とあるLINEのトークでは、こんな会話が繰り広げられていた。
『すっげぇ画を撮ったぞ 』
『マジで!?』
『ほーれ』
その『画像』を載せた。
『会長!?!? 相手は……リョウか。同じ望団だな』
『こいつは文化祭に一発いけるな』
『すげーな。これで北附の新聞部の凄さが知らしめられるな』
『やっほーい』
『画像』をネタに、大きく盛りあがっていた。
翌日、3年1組では……
「ねぇ、サユリ。少し話があるから、食堂に行こっか」
「あ、カスミ。……行こっか」
サユリが、普段とは違う口調で、カスミに着いていく。カスミは、サユリの友人。
その道中。
「いやぁ……本当に、この時が来たのかーってね……」
「どういうこと……?」
「まぁ、私は何でも受け入れるから……」
食堂に着いた。そこには、学生が数人いる。
「で、話って何……?」
「まぁ、あの赤い子とね……キスしてたよね……」
「!?」
爆ぜろ