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Phase2-3 行橋で

土曜日の昼。ミヅカを含めた望団は、電車で行橋に向かっていた。


車両端のボックスシートに、リョウ、ミヅカ、ミユ、サユリと、タクミ、タツヤ、ミハヤ、ヒカリといった感じで、4人ずつ座る。


「行橋に行ったからって……ハヤトに会える確証はないのですよ?」

「そうかもしれませんけど……それでも、ハヤトくんと話をしないといけない気がするんです。私達で」


ミヅカ達は、固い意思で答える。行橋に行ったからと言って、ハヤトに会えるかどうかは運である。それでも、ハヤトと話をしなければならない。


デバイスの件、リョウのコスプレの件、望団に入るかどうかの件。聞くことは多い。


「兄貴、ハヤトに謝るつもりは……」

「無い。する理由が無い。謝るのは無意味だ」

「頑固だね」

「流石にそろそろ……ねぇ…………」


ただ1人、謝る気が無いリョウ。ミユとサユリは、お手上げ状態だ。




行橋に着いた。


「またここに来た……か」


リョウはハヤトとの交戦後に、ここから自宅へ帰って行った。それも最近の話である。


「ハヤトと会ったからって、いきなり拳で語り合わないでね? 兄貴??」

「分かっている。そんな野蛮なことはしない」


駅周辺を歩き回る。サユリを中心とした、リョウ、ミヅカ、ミユのグループと、タクミを中心とした、タツヤ、ミハヤ、ヒカリのグループに分かれ、それぞれ東口と西口に別れて、ハヤトを探す。




西口、タクミが中心のグループ。


西口は、とにかくマンションが多い。建設中の物も、多々ある。


「マンションが沢山あるね……ハヤトがどこに住んでいるのかなんて分からないよ」

「それでも探す。そういうことになっているんだしな。…………めんどくせぇ」


愚痴を言う2人の男に、ミハヤが一喝する。


「あんたたち男でしょーが! ぶつぶつ言わずにハヤトを探しなさいよ! 全くもう……」

「「へーい」」


タクミとタツヤは、やる気のない返事をした。


(こんな状況で見つかるのかな……?)


ヒカリは、こんなグループの状態を心配していた。




東口。サユリ中心のグループ。


「大通りから路地裏まで探しますので、迷子にならないように」


東口の方は、住宅やマンションが多くある一方で、居酒屋も多く存在する。


「こんな所にハヤトがいるのか……?」


リョウは、かなり面倒臭そうにハヤトを探している。と、ここで……


「兄貴、お腹空いた」


今は昼。お腹が空いたと、ミヅカが訴える。


「馬鹿野郎。さっき飯食べたばかりだろうが。ガ○トのミックスグリルだけでは足りないのか……?」

「えっ……ミヅカさん……結構、大食い系……ですか?」


サユリがその件の事を、リョウに聞いたが、間に入り込むように、ミユが話し始める。


「大正解! この見た目からは想像つかないほどに、沢山食べるんだよね! 寿司の皿は30皿は余裕! ご飯一升食べても問題なし! …………まあ、食費がマッハで消えて無くなるから、食事制限を……かけているんだっけ??」

「そうでもしないと、俺もお前の家も経済破綻するからな。こいつの食費で」


あまりの内容に、サユリは絶句していた。ミヅカは、かなり赤面していた。


「で……ご飯は?」

「我慢s……」

「駅のケ○タッ○ーでも買おっか!」

「いぇーい!」

「ちょっと、おい!?」


リョウの発言を無視するかのように、ミヅカとミユは全力疾走で駅に向かった。


「あーあ……また金が……。ミヅカとミユは、2人だけでK○Cのチキンを50ピース食ったことがあるからな……経費で頼む」

「仕方ないですね……凄いです。そんなに食べるんですか」

「ああ……。良いバイキングレストランを教えて欲しいものだ……」




そんなリョウ達を、ハヤトは自宅マンションから見下ろしていた。


「仲が良いんだな……。懐かしい感じがする。少し行ってみるか」




「もう帰るか……居ないようだしな……」


リョウは駅の方へと歩いていこうとしたが……


「ま だ 早 い で す よ ?」

「うっ……」


サユリの威圧を感じたので、リョウは嫌々、ハヤトの捜索を続行した。


少し遅れて、ハヤトがマンションから出てきた。


「あれ? どこに…………いた。ちょっと待て! おーい!」

「「あっ、いた」」


ハヤトが走って2人の元へ。


「何をしている……リョウ、あの2人はどこに行った」

「駅のK○Cだ。今頃、美味しそうに食べているはずだ」




3人は、駅のケン○ッ○ーへと向かった。窓から、ミヅカとミユを見ると……


「おいおい……どんだけ食べてるんだよ。お前の妹……」

「あれは幾ら何でも、食べ過ぎですね」

「これで一体何円取られたんだよ」


テーブルの上には、大量のバーレルと、衝撃的な量の骨。おおよそ40本ある。さらに、まだ食べていないチキンが10ピース程。他の客や、店員も2人を見ていた。




店内。


「ミヅカちゃん、いっぱい食べるねー」

「まだ行けるぞー。というか、そっちも結構食べてるね」


店内にいた客も店員も、ドン引きしていた。


「あの見た目でよくあんなに……」「大食い選手権で勝てるんじゃないか?」「絶対腹壊すだろ」




店外。


「リョウ、あれで一体何円取られるんだよ」

「万単位になるだろうな。こうなるから、ミヅカには食事制限をかけているんだよ……」

「望団の経費で賄うから……大丈夫……ですよね? やっぱり心配です。2人の体調とかが」




西口グループ。連絡を受け、○ンタッ○ー前へと向かう。


「いたのかよ」

「ゆっくり行こっか」

「というか、ミヅカとミユが万円単位の量のチキンを食べてるってどういうこと」

「ぇ!? 嘘!?」


歩きながら向かう。ミヅカとミユの話も聞いている。4人は、その話を信じていない。




ケ○タッ○ー前。西口グループの4人が到着した。店内の状況を見て、4人は口を揃えて、こう言い放った。


「「「「あの2人は化け物か?」」」」


骨の数は推計50本以上。大量に積み重ねられたバーレル。余裕の表情を見せるミヅカ。ややキツそうなミユ。ドン引きする客と店員。


それらが物語る、これまでの話。


(あんなに食べたら、少しまずいぞ……もういい。入ってやる)


リョウは、耐えきれなくなり、店内に入り込んだ。


「どんだけ食べてるんだ! 体壊すぞ!」

「うひぃ!? 兄貴ぃ!?」

「リョウ!? いつの間に!?」


リョウは、テーブルに置かれていたレシートを手にした。


「一体何円分……5桁か。予想通りだ……」


¥15650。それが、レシートに書かれた金額。


「経費でどうにかするとはいえ……こんなに食べて大丈夫なのか?」


リョウは、2人を心配していた。


「リョウが私の心配をするなんて珍しいね。結婚s」

「黙れ。とにかく、ミヅカ……今回はどれだけ食べた?」

「20ピースぐらい」

「「「「「「は?」」」」」」


20ピース。それでもかなり多いのだが……


「お前達が食べたのは50ピースぐらいだろ。何で半分以下なんだ。まさか……」


その場にいた全員が、ミユを見た。


「(・ω<) テヘペロ」

「お前かあああああ!?!?」


ミユの方が、よく食べることが判明した。

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