Phase2-2.5 双子の兄が見る夢
「おやすみー」
「おやすみ。ミヅカ」
双子は眠りにつく。そして、夢を見る。
リョウの夢。
――そこは霊安室。幼い自分と、幼いミヅカしかいない。そして、台があって、その上に布で覆い被された何かがある。
――その布をめくる。
「姉貴……」
姉の遺体。綺麗な遺体だ。だが、触れても脈が無い。そして冷たい。姉が死んだというのは、現実である。
また、警察から、これが他殺であることも告げられている。
「兄貴ぃ……誰が……誰が…………」
ミヅカが目を赤くして泣いている。誰がやったのかとリョウに聞く。
「知るかよ……分かるかよ……何でだよ…………」
怒り、悲しみ、怒り、悲しみ……その感情がリョウを交互に巡り合う。
そこへ、1人の男が。
「お父様からの手紙です」
その内容を見て、2人は絶望した。
『お前達に言っておく。お前達も狙われている。東京から離れた福岡に俺の親族がいる。そこに匿ってもらえ。俺たち親に会うな。また狙われるからな。俺たちを憎むなよ。捨てたわけじゃない。逃げたわけじゃない。覚えておけ。』
読み終えた瞬間、リョウが手紙を破り捨て、激昂する。
「ふざけるな! このクソ親父がッ!!!」
ミヅカは、姉の遺体にしがみつき、さらに泣く。
「ああああああああああああああ!!!!!」
その室内には、怒りと悲しみだけが渦巻いてた――――
「ッ!? ――夢か」
目線の先には、仏壇があった。名前が刻まれている。『西原ユウカ』と。『西原』の部分だけ、無理やり作り直された跡がある。
「夢じゃ……ないのか。今の俺を姉貴が見たら……なんて言うんだろうな」
窓から夜の星空を見て、再び眠りについた。
「おはよー……う!」
「おはよう……ミヅカ。いつもの朝飯が戻ってくるな」
「よっしゃー!」
2人とも感情を抑えて、月曜の朝を迎えた。
(姉貴……昔の俺に戻れるように……今日は……変化の日にする)
双子の兄はそう決意し、双子の妹と学校に行くのであった。