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Phase2-1 勧誘、望団

「んで……今から何を?」


望団が発足したが、『北九州を守ろう!』では、よくわからない。サユリは少し悩んだ。今はあのカマキリみたいなものはいない。だから、活動しようもない。


「どうしましょうか……」


サユリが悩む。そして、決まったその内容は……


「じゃあ、誰かを誘い込みに行きますか」

「……は??」

「よし行こー!」


誘い込む。その言葉にミユは乗り気だが、リョウは困惑している。いきなり勧誘するのだ。こんなよくわからない集団に入れ、と他人に言うのだ。


「え、ちょ、おい!? ミユ!? 引きずるな!!」

「まずは部活組だね!」


この学校には運動場と体育館がいくつかある。ミユとサユリは、それを全て回るつもりだ。




野球部に突撃。


「望団に入りませんか~~?」


単純な言葉だが、簡単に言えば『一緒に戦ってくれ』ということと同じである。野球部の部員は、引きずられてきたリョウを見て、それを察した。


「いくら会長の推薦とはいえ……ここは野球に専念させてください!甲子園のために!」


案の定、断られた。


「うーん……やっぱり、勧誘って難しいね……リョウ、改善策とかある?」


ミユが、改善策を聞いてきた。そしたら……


「何をするかが分からないのに、入る奴なんている訳ないだろ」


「「あ、そっか」」


2人は、重要事項を完全に忘れていた。


(あー、ダメだこいつら……望団とか成立せんぞ……)


リョウは察し、呆れ、帰ろうとしたが……


「「ま だ 終 わ っ て な い よ ? ?」」

「うげっ!?」


凄まじい威圧を感じた。リョウは、効果があるか分からない行脚に、嫌々ついて行くことにした。




バドミントン部。


「望団に入りませんか~~?北九州を全力で守ってくれませんか~~?」

(あ……それ言うのか……というか、それしかないか……)


守ってくれ。サユリはそう言った。そしてその後ろに、リョウがいる。それに気づいた1人が、


「先輩? あの子、あの後ろの子。目が、昨日銃を撃ちまくってた人に似てません?」

「『守ってくれ』って……そういうことかよ……部活が出来なくなるな……」


そして、下した判断は……


「「「すみません!!」」」




バドミントン部にも拒否された。


「もう諦めた方が……」

「まだ……陸上部とか……バスケとか何とかがいっぱいあるじゃない?」

「リョウ君……諦めてはいけませんよ……ここは気合い……あら? 誰かいますね……行ってみましょうか」

「へーい……」


そこには、校舎の壁に寄りかかっている、2人の男子生徒がいた。


「君たち~~? 話を聞いてくれるかな~~?」

「「あ、会長」」


その2人は、片方が体育会系っぽい見た目で、もう片方は、優等生の頭脳派……っぽい感じだ。


「望団に入って、一緒に……」

「入ってみるか」

「「「!!??!?」」」


体育会系っぽい生徒がいきなり決めたので、リョウも、ミユも、サユリも驚いている。


「ちょっとタクミ!? よく分からないことには付き添わない方が……」

「いいじゃないか、タツヤ。ここは俺の冒険心をくすぐらせてきそうだ。俺は昨日のアレを見ていた。そこのちっちゃいのが変身して、戦っていたところを。そいつがいるっていうことは、一緒に戦えってことなのだろう?」

「あー……正解ね」


模範解答を言い放ったタクミに、サユリが若干引きながらも、判定した。リョウは、何故か苛立っている。


「戦う!? 僕には無理だよ!? 体力なんか……全く……」

「……いや、それでもいい。成績とかは?」


取り敢えず、リョウがタツヤに成績を聞いてみる。


「まぁ、結構……」


タツヤが言おうとした時、タクミが……


「聞いて驚け! こいつは幼児にして、東大模試A判定を取った変態だ。こいつなら、世界各地のエリート大に入れるぞ? しかも、IQは俺の判断だけど、200越え。こんな奴、入れるしかないだろう?」


「IQの話はともかく、幼児の時から模試がA……つまり、一般的に見てこいつは、神童か……どうする?」


リョウが判断を2人に委ねた。


「入れちゃおう! 戦略派が居てもいいでしょ! 私は、戦闘も何も知らないし、リョウは、技があっても指示とかは確実にダメダメだろうし……今の3人でマトモなのはサユリ……会長だけだから、それを補う頭脳も必要だからね!」

「よし。じゃあ、2人とも入れちゃいま~~す!」


決定。団員2名追加。


「えぇ!? どうしよう!? 戦闘は……」


ほぼほぼ強制的に決まったので、タツヤが混乱している。


「落ち着け。戦闘時はデバイスの機能で機動力が膨れ上がる。どんなに運動音痴な奴でも、漫画みたいな動きが可能だ。安心しろ」

「え、そうなの!? それ言ってよ! 私も少し心配してたのに!」


まさかの機能があることに、全員が驚いている。と、その時。


「うわああああ!? 怪獣だああああ!!」


どこかから声が。その方向へ向かう。すると。


「うわぁ……気持ち悪い……」

「ちょっと……引くわね」

「なんか始まった感じがするな」

「あーあ……話していた矢先に……」


かなり大きな……ナメクジがいた。北附から南方約3kmにある、皿倉山を下っている。木々を巻き込みながら。


「やるしかないな。使い方を言うぞ。取り敢えず、タクミとタツヤは、生徒会室にあるケースの中から、適当に自分のデバイスを取れ。説明書を読んでそれに従え」

「分かった。行くぞ」

「え……うん」


2人は走って生徒会室に向かった。




「右と左は分かるだろう。それぞれ腕につけろ」

「おお……かっこいい……」

「ちょっと重たいわね……」


2人がデバイスを両腕に付ける。


「付けたな? よし、1番のボタンを押せ。時間が無い」

「こう……うおおお!?」


ボタンを押した瞬間、2人とも光に包まれた。そして、あの時と似たような破片が周りを回っている。


「レバーを倒せ。それで変身完了だ」


2人がレバーを倒す。すると、リョウが変身した時の様に、破片が体に付き、ヘッドパーツも形成された。色が違う。ミユは青帯と白、サユリは銀帯と赤と白。


「あら、結構重たい気がするわね」

「そうかな?私のは結構軽いけど」

「あ……X01()のデバイスは、他のものの発展系だ。従来のものより強化されているが、代わりに重量が大きくなった。まぁ、動き出したらデバイスの機能で軽く思えるようになるからな。……俺も行くか。急がないと、あの一帯が潰れてしまう」


リョウも変身し、まずは3人体制になった。




一方、タクミとタツヤ。


「あーもう! 広いからどこにあるかわかんねえ!!」

「あぁ……キツいよ……」


北附はかなり広い。だから、迷子になりやすい。2人は生徒会室を探して全力で走っている。階段は2段飛ばしで上り、タクミに関しては、階段を5段ぐらい上から飛び降りていったりもしている。



リョウ達は、武器を取り出していた。


「武器にはコードがついている。デバイスにコンセントがあるから、コードのプラグを挿せ。そうしたら、武器が使えるようになる」


3人の武器はこうだ。リョウが未来の銃っぽいもので、ミユが2つの拳銃みたいなもの。サユリは斧っぽいもの。


サユリが、斧についているプラグを、右のデバイスに挿した。すると、斧が白く光った。


「おおー。光ってる!」

「ちょっとかっこいいわねぇ」


リョウが説明を続ける。


「光っているのは『属性粒子』だ。水なら、水を形成する粒子が流れている。粒子は、気体に触れるとその属性のものになる。水なら、水ができる。それを武器に流し続け、その粒子を攻撃に使い、属性特有の力で戦うのが基本だ」

「じゃあ、やってみよ……」


ミユが、2つの銃のプラグを、それぞれ左右のデバイスに挿した。銃が青く光る。


「ムダ使いするな。水とか鋼とかは特にそうだが、体に属性を意味する色の着いた帯があるだろう?そこから粒子を出してやりたいことができるようになる。水流に乗って高速移動したり、鉄を組んで壁を作ったり。そうして戦いを有利に進めることが出来る。それであそこまでいくぞ。ナメクジは遅い。住宅街まで来るには時間がかかる。今の内に殺る」

「分かった」


ミユが水流を形成し、それに乗ってナメクジのところまで行く。



そしてあの2人は……


「ここが……はぁ……生徒会室のようだね……」

「行くぞ」


タクミが生徒会室のドアを開け、例のケースを見つけた。


「これだな。02と03で行くか。……これは説明書か」


タクミが03、タツヤが02のデバイスを取る。属性は、02は氷、03は電気である。


2人が説明書を見ていると……水の音。その方を見ると……


「「なんじゃこりゃ!?」」


空中に川っぽい物が出来て、それにサーフィンの様に乗って移動するリョウ達の姿が見えた。


「置いてかれてしまったぞ。さっさと変身するぞ!」

「うん」


2人も変身した。タクミが橙帯に白地。タツヤが水色帯に白地。タクミが窓を開けた。


「タクミ、氷で道を作れ。そこを俺たちを氷で押して、あっちに行くぞ」

「分かった」


氷の道が出来る。窓からそれに乗り、氷の壁で自らを押していく。



「あーもう! ぶにぶにしてるし、ネバネバしてるしやりにくい!」

「くそ……銃では相性が悪いな。水で攻撃すると返って元気になる。火でも効かないかもしれない……」


サユリが斧で思いっきり切りつけていく。しかし、弾き返される。


「もう……聞き分けのない子ですね……」


その時。上の方が氷に覆われる。そして……


「待たせたなァァァァァ!!」


タツヤとタクミが氷の上から降りてきた。2人は、タクミが日本刀っぽい刀で、タツヤが右手にクローみたいなものを着けている。


「やっと来たか。こいつは銃でも剣でも無理だぞ?」

「焦るな。斬るっ……――電磁斬りッ!!」


名前付きの技を放つと、ナメクジの体が真っ二つになった。これでおしまいだ。



この光景を、学校からその場にいた生徒が見ていた。


「望団……入るにもな……」「あんな動きは無理よ……」


全員が絶句していた。デバイスの機能など知る由もない。だから、傍目から見たら、望団は『身体能力がバケモノな人間の集団』に見えてしまっていた。



「生体反応が消えた。これでおしまいだな。必殺技を放つ必要は無かったか」

「ああ。そのようだな。……これが日本刀の強みか。結構精密に作っているから、なんでも斬ることが出来るだろうな」


みんな変身解除した。


「疲れたなー。歩くの面倒だから、もう一回変身していこっか」


ミユがボタンを押して、レバーを倒す……が、反応が無い。


「リョウ!? 何で!? 壊れた!?」

「言い忘れていた。これは最低でも、1時間は変身し直すことが出来ない。回復時間があるからな。歩いて戻どるぞ。どこかにバス停があるはずだ。そこから戻るぞ」

「ええー。めんどくさいなぁ」


5人はしばらく、お散歩をすることになった。


望団の団員が、少しずつ増える。少しずつ。

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