0章0話【怪話】
初めての作品です。
黒歴史を作りに来ました。
(一つ、問いをしよう)
またかい?これで何度目だい?
(その問いには、46回目と答えよう)
なんでそんなに続けるんだい?
(それが、私が存在する意味だからだ)
それは、そうだろうが…。
(そうだろう?むしろ私にとっては、それ以外の行動をする意味が分からない)
ハイハイ、どうせ着地できないから話を戻すぞ。
で、問いは、なんだ。
(問いは、人間とは)
これまた、哲学的というか中2臭いというか……… 。
(私の歳は23だが?)
気にすんな。
お前のその反応は予測してたし。
それで、人間とは、ねぇ。
(そうだ、仕事を終えた時にその問いが思い浮かんでね。)
仕事後、ねぇ。
まあいいや。
結論からすれば、人間ていうのは物と変わらない、
(その意味は)
お前のことだから≪コギト-エルゴ-スム≫て、言葉を知っているだろう?
(ふむ、哲学者デカルトの言葉だな。意味は「我思うゆえに我あり」だったな。)
そう、ざっくり言えば、自分は本当に存在しているのか、そう思う時点で思考する自分の存在の証明になっている、て事だ。
(それで、それがあの結論とどう結び付いているんだ。)
いや、結び付か無いぞ。
自分の存在は証明できた。けどな、それは思考や精神的な証明だ。物質的な証明はどうなる。
(人のことはあまり言えた性格ではないことは重々承知しているが、そういうのひねくれていると言うのだろう。)
本当に言えたことじゃないな。人間とは、って言うような奴に言われるとは………
(それよりも早く続きを言え。)
………。
それで、人を物質的に証明しているのはなんだ。
(目ではないか?)
正解。見えるんだ、自分ってものはな。
それで十分、証明完了と言える。
(そうだな、うだうだと小難しいことをいう奴もいるが。それで十分納得できるぞ。俺は。)
じゃあ、それの肯定はなにでされる。
デカルト先生の言葉では、思考する自分がいると気づいた自分が、証明と肯定をしている。
(その証明と肯定の違いはなんだ。同じように思えるが。)
肯定は、観測のことだ。いくら証明出来たとしても、それが見えなければ、「ある」とは確定しない。
だから、お前が「目」と答えたのは……、解っていて答えたんじゃないのか?じゃなきゃ、目って出てこないだろう。
(解ってはいたが、気になったからだ。)
マイペースだなぁ。
で、そう「目」だ。
どういう顔なのか、髪の長さや色は?身長は?肌の色は?
見てわかる。
「目」は肯定の一つだが、もうひとつある。
(………名前か?)
その通り。
名は体を表すっていう通り、名前の無いものはない。
(そうか?見つかっていないものに名はないぞ。)
見つかっていないものの証明は出来るか?出来たとしても、それは確実か?
(理解した。あったとしてもあるとは言えない。そういうことだな。)
そう、そしてその名前は変えることができる。一匹の犬がいたとして、ある人はそいつを「ポチ」と呼び、ある人は「イチ」と呼ぶ。この二つの名前は一つのものを指している。
(なるはど、お前が人を物と同じといったのは、名前というラベルに縛られているからだな。)
おや、正解までいっちゃったよ。
そ、人は親っていう最も近い他人に勝手に付けられた名前に執着する。人間ぐらいだろう。そんな下らないものに縛られている変な生き物は。
名前は剥がそうとすれば剥がせる。のに、そうしない。
どうしてか。
(当然だからだろう。)
当然だから剥がそうとしない。あくまで受動的ななそんなものを大切にする。しなくてもどうでもいいからそのまま。
人間に勝手に付けられた名前のままの他の物と何が違うんだ。
(色々と違うと思うが、まあ、それがお前の答えならば、肯定しよう。)
帰るのか?
(ああ、そろそろ別の仕事が来る頃だ。)
そうか。じゃあ、俺も帰るか。
(じゃあな。「宮」の友。)
またな、「芥」の友。
二人が別れた時に、ようやく夜空に月が登った。
宮:俺達の意味がありそうで何もない会話で始まった ぜ。
芥:黒歴史ってなんだい?
宮:あー。恥ずかしい思い出のことだよ。
芥:これのどこが恥ずかしいの?
宮:(お前はそういう奴だよ……。)