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幻の城  作者: 月野メグ
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第3話 二人の距離

パチパチと、焚き火が燃え上がる。二人はようやく落ち着いた。

「ふぅ……暖かい」

カレンは思わずため息をもらす。


さっきはマッチでうまく誤魔化せたが、今度こんなことがあったらバレるのではないか、とカレンは内心冷や冷やだった。


カレンは、その特異体質故に、魔女と忌み嫌われていた時期があった。それを思い出すと今でも泣きそうな気持ちになる。だからダインにも秘密にするのだ。怖がられたりしないように……。


ダインは焚き火の暖かさで、表情が穏やかになっていた。

とりあえず、この島で生き抜くことを考えなくてはいけない。まずこの島に人はいるのか。草木が枯れていては、多分フルーツなども実るとは思えない。海が近くにあるのが幸いだ、魚が釣れるからだ。しかし釣り道具を持っていない。簡単な釣り道具なら作れるだろう。


カレンは焚き火にできるだけ近より、服を乾かそうとしていた。下着も濡れているので、乾かしたいがダインがいるため服を脱げないでいた。


(さむ~、後で火魔法で乾かせばいいわね)


カレンの唇の青さを見て、ダインは心配そうに言う。

「唇真っ青だぞ、大丈夫か?」


「えっ」


カレンは自分の唇を人差し指で撫でる。焚き火にあたっても、下着がびちょびちょなので寒くて仕方ないのだ。


「だ、大丈夫です。後でマッチで乾かしますから 」

ダインはようやく気づいたようだ。カレンは下着が濡れていて寒いことを。


ダインは男なので下着まで脱いで寒さをしのいでいたが、カレンはそうもいかないことがわかった。自分がいるからだ。


「そうか……俺ばかり済まない。向こうに行くから下着まで脱いでくれ。一切見ないと約束する」


「え?あ、だ、大丈夫ですよ、ダインさん」


「無理をするな」


そう言うと笑顔で焚き火から遠ざかり、海辺の方まで行ってしまった。


(ダインさん……優しいな)


カレンは自然と笑みがこぼれた。遠慮なく、カレンはワンピースを脱いだ。びちょびちょの下着も脱ぎ、乾いたワンピースだけ着用した。

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