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幻の城  作者: 月野メグ
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第2話 カレンの秘密

男性は体を震わせていた。カレンと同じように寒いのだろう。

「……じゃあ、今ここには俺とあんたと二人だけってことか……」

「……そうみたいですね」

カレンは心底絶望し、ため息をついた。どうしてこんな島にたどり着いたのだろう?カレン達の他に人はいるのか?草木が枯れてるのを見ると、どうみてもおかしい。今の季節なら緑が豊かなはずなのに……。


「……それにしても寒いな。あんた、名前は?」


「私ですか?カレンです。カレン・カーソン。貴方は?」


「俺はダインだ。ダイン・ペルソ」


「ダインさんですか」


名前を聞くと、カレンはにっこりする。


(寒いって言ってたわよね。魔法使おうか、この人にバレないように……)


そう、カレンには魔法が使える。生まれつき魔法が使える特異体質なのだ。火魔法を使えば、枯れた木にだって火を灯せる。


「あの、ダインさん、ちょっと待っててくださいね」

そう言うとカレンは立ち上がり、島に適当なサイズの木がないか探した。

島の枯れ具合は、本当に酷かった。太陽さえも照らない島で、何もかも見捨てられたのではないかと思うくらい、自然の恵みがなかった。

ようやく、野太い枝を見つけた。


(よぅし、これなら……)

カレンは枝に手をかざし、精神集中した。


(炎よ、私に力をかしたまえ……!)

枝がチリチリと燃え始め、あっという間に火がついた。勢いよく燃えている。


(よし、これにたくさんの枝を集めれば、焚き火が出来上がるわ)

そこかしこにある枝を、適当にたくさん集めた。

走って、ダインの元へ戻っていく。


「ダインさん、すみません、お待たせしました!」


ダインは体を震わせながら、手で体を擦り、座っていた。

「……?どこへ行っていたんだ?それに、その火は……?」


ダインは目を丸くする。どうやって火をつけたのか、疑問だったようだ。


「あ、いえ、たまたまマッチを見つけまして。それで火をつけたんですよ」


「なるほど、そうか、ラッキーだな」


「ええ。これで焚き火が出来ます」


がらがらと枝を下に落とす。火を灯した一本の枝を、投入する。たちまち、火が広がった。



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