第1話 出会い
海水を大量に飲んでいるみたいだ。カレンは戸惑った。どうやったら海水を吐き出すかカレンにはわからない。
(……どうしよう、放っておくわけにもいかないし……)
カレンはとりあえず寒かった。チェック柄のワンピースに革のブーツを履いているのだが、ブーツの隙間に海水が入り込んでおり、足が冷たい。あと、全体的に濡れている。
(とにかく寒い。このままじゃ死んじゃうよ……)
カレンはこの島に流れ着く前の記憶がない。一体どうしてこんな島に流れ着いたのか。生きているだけでもラッキーだったが、なんだかこの島全体がおかしい。
(草木が枯れてる。なんでこんな生き物もいなさそうなとこに流れ着いちゃったんだろ……)
カレンはボーッとするばかりだった。
ほどなくして、男性がゴホゴホと咳をし、海水を吐き出した。
(あ!すごい、自力で海水を吐き出すなんて……)
男性は意識を取り戻したのか、上半身を起こした。顔を見てみると、カレンより二つ三つ年上っぽい。カレンが十六歳なので、十八、九といったところか。
男性はカレンの方を見た。筋肉がほどよくついていて、どちらかと言えば可愛い顔をしているその男性には、少しアンバランスに見えた。
「だ、大丈夫ですか?」
カレンは恐る恐る口を開く。
「……君は?」
透き通るような碧眼だ。その碧眼をカレンに向けている。
「あ、私もこの波打ち際で倒れていたんですよ。貴方と同じように。意識が戻って良かった」
カレンは満面の笑みを浮かべる。




