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俺は帰りたいんですが。  作者: 来島ぎれ
第一章 個人召喚
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あきらかに前振りなやつ

「兄貴、昨日買った漫画知らね?」

「あ、借りた。友達に貸したわ」

「まだ読んで無いのに」

「わりぃわりぃ。そのうち帰ってくっから」

またか。兄貴とは何にでも大体こんなもんである。

弟のものは俺のもの。


「にいちゃん、あれどーなった。イベ鯖重じゃ無い時間に手空いてるっていったじゃん。してくれたかー?」

「あー、鯖落ちメンテ突入」

「マジか」

「なのでオフでジョブマスカンスト」

「ま、じ、か。さすが暇人!」

暇じゃない。何かと文句が数倍になるから対策しただけだ。

甘やかされた未の弟とは。我が強い場合は兄貴だろうと使い倒すもの。


上と下に挟まれる兄弟の真ん中は微妙な立ち位置だと思う。多分気が小さい俺の場合に限る。

兄貴と弟に振り回され育ち、波風立てないよう大人しくする癖がついた。

気が小さいからな。

家でも外でも同じにしてる。だって振り回されると疲れるだろ。



「お前らなに、子分とか舎弟なわけ?」

「え。友達だけど」

「あははは、後ろからついてくからな。犬だ犬」

「忠犬だったのか」

「わははは!」


中高一緒だから仲良くしてんだけど。友達といても常に一歩引いてるからか、周りは俺を犬という。まあ、大人しい駄犬程度が目立たなくていいと思う。




「え、あんた邪魔」

「ちょ、こんな日まで二人で帰んの?バカじゃない?」

今日はバレンタイン。リアイベする日だ。

彼女いない友達と帰宅中女子に割り込みされる。

彼女が今いないだけでモテる友達に、チョコ渡しに来たんだろな。

これも二歩くらい下がっておかないと、何かとトバッチリが飛んで来そうだ。


「これあげるー!」

「貰ってっ」

「えっ、私からも!」


まあ本当モテること。

「忠犬そこどいて」

「邪魔〜」

「お前邪魔〜」

・・・煩いな。ハイハイ撤退しますよ。扱いがぞんざい過ぎるだろ。俺には義理のひとつもないのか。


どんっ


「 あ、」


きゃーっっ!!


ここは駅のホームだった。

俺は誰かに体当たりしたのかされたのか、線路に背面ダイブした。




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