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ぷろろーぐ。
見渡す限りの青空。
カモメの飛んでいる姿を遥かに望む湾の青と、雲一つなくどこまでも澄み渡る空の青とが溶けて混ざり合って…そんな青を見ていると清々しい、晴れやかな気持ちになってくる。
上々だ。俺という人間の出発に持って来いの天気じゃねえか。お天道様も味方してくれてらあ。
青々とした草を踏みしめ、男は歩く。口元をほころばせて、男は歩く。やがて彼は少し切り立った崖の上に立ち、眼下に広がる町を一望した。
―――手紙一枚携えて、男は町にやってきた。
「…へっ、ここかい。」
一枚の手紙と、柄にもないほんのわずかな不安を携えて、男は町にやってきた。―――