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神の鬱  作者: 紅きtuki
希望編
34/62

第36話「同等の力」

「面白い。俺様をバカにするとはいい度胸だ! 俺様も本気でやってやろう。」


 そう言って、両手を広げる。すると、ナンバー1の背中から大きな蝙蝠の羽が一瞬で生える。

あの独特の服装は羽の邪魔にならない為の物だったのだろう。紅葉は今も信じられないと言った顔をして、


「何だ……ありゃあ……」


 その質問にいつの間にか横にいたモミジが答える。


「あれかい? あいつは吸血鬼だよ。鬼の一種さ。吸血鬼を捨てた吸血鬼。

人間になる事に成功した鬼。まぁ完全じゃないけどね。」


 そんな話をしているうちにナンバー1はバサバサと羽を羽ばたかせて宙に浮き始めた。

そして右手に血をイメージした真紅の剣を握り、閉じていた目をゆっくりと開き、静かに笑った後、

横に回転しながら地面と平行にモミジに飛びこむ。バンザイの形をしているので剣は頭の上にあり半分ドリル化している。

少し反応を遅らせたモミジはそれに対応ができず、綺麗に貫か……れなかった……

と言うのも当たる直前にモミジとナンバーの間に何かが遮ったのだ。

体制を立て直した、ナンバー1が不審そうにそれを確認すると、そこには普通の手があった。

そのまま、その手を辿りその手の主の顔を確認するとそこには高杉 紅葉が居た。




 ナパームは最上階で貫かれた廊下を見て驚きが隠せなかった。

そして恐る恐る、下を覗き込むとさらなる驚きが待っていた。

そこにはなんと学園のナンバー1の攻撃から1人の少女を庇う、どこにでもいそうな少年が居た。

ナパームは今、まさにその戦いを中断させる為にこの穴へと飛び込もうとしていたが、その少年を見て躊躇してしまう。

その少年はナンバー1の攻撃を少女の代わりに受けたにも関わらず、無傷だったからだ。

そして、ナパームは先生という立場を忘れてその戦いを最後まで見届ける事になる。



 紅葉は掌で剣を受け止めた後、その剣を握る。

するとその剣は存在が許されなかったかのようにナンバー1の心へと帰ってしまう。

消滅はしなく、あくまでも帰されるのだ。


「天才のお前なら俺の能力も知っているはずだよな? 

俺は心剣によって及ぼされた力を無効化する力、心剣本体だって例外じゃないぜ?」


「ふん! せいぜい吠えるがいい! 負け犬が!」


 そう言って紅葉に左ストレートを繰り出す。

紅葉はそれを顔面で受け止め、吹き飛ばされそうになる体を足で踏ん張り持ちこたえる。

そしてすぐに、普通のパンチでナンバー1の顔面を殴り飛ばす。

殴り飛ばすとは言ったが全然飛ばされる事は無く、すぐさま紅葉へ反撃を開始する。

こうしてみるとただの兄弟げんかにしか見えない。

しかし、2回目の攻撃は持ちこたえられなかったらしく素直に吹き飛ばされて行く。

こんな事を10セットほど繰り返しているうちに、ナンバー1はある事に気付く。


「ハァ……ハァ……俺様が疲れているだと!?」


 そして紅葉は再びナンバー1の顔面へとパンチを繰り出す。

すると、今度は以外にもナンバー1も紅葉と同等に吹き飛ばされる。


「く……人間風情が! 何でこんな力を!? ハッ!」


 ナンバー1はそこまで言ってある事に気付く。自分も人間になったのだと。

自分は何一つ悪い事はしていないのに差別を受ける鬼を嫌いになり、人間になる事を努力した結果。

完全じゃ無いにしろ、人間になることには成功した。

その名残で今のような力が残っている訳だが、それでも生身の人間はその力に敵わないはず。

それにも関わらず、同等の力を発揮する少年をナンバー1は理解できなかった。

尽きる事のない体力を持ち、完全記憶能力を持ち、このような力を持ってしてもこの少年は今も同等の力で殴りかかって来る。

そろそろ、意識も朦朧として来ている。多分その少年も同じ状態なのだろう。

今もお互い殴り合っている。その横でモミジが複雑そうな顔でその様子を見ている。

そしてナンバー1は思う。この男はなぜ、こんなに必死なのだろうと。



主人公がナンバー1と殴りあえるのには、理由があるのです。(きっと)

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