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ゴトフリートの夜祭 1
『今夜、柊樫の下で待っている。──クラーエス』
便せんにはアールストレーム公爵家のものであることを示す型押しのシーグルの紋章が浮き出ている。
読み終わると元通り二つ折りにして封筒に戻し、炉辺の棚に置く。
エリノルは暦を見やり、目を細めた。
「ブロルの新月、ベリトの二十日月。今日はゴトフリートの日か」
夜更けも遅くまで月のない暗夜が訪れる。
ゴトフリートの日は、晩秋の祝祭日だ。
パレードがあって着飾った人々が街を練り歩き、ミカルと呼ばれるたっぷりと蜂蜜をまぶした焼き菓子を食べ、大麦とさまざまなキノコとニンニクと贅沢なバターを煮て香草を散らした特別な粥を分け合い、広場で焚き火を焚いて遅くまで夜を思うさま楽しむ習わしだ。
そうやって農作業に忙しかった日々が終わったことを暦に印し、冬を迎える。
エリノルは外を見た。
「雪が降るな」
リンドブラードの塔の窓から、早くも夜闇が広がりはじめた午後の空の下、針葉樹の冷涼な香気をただよわせてなだらかに横たわるアスピヴァーラ山脈が見える。
今しも王家の墓所を懐に隠すその山から、雪が平地へと降りてきはじめていた。




