薔薇のお茶会 5
外へ……。
姫がその響きを懐かしく耳によみがえらせながら見ていた庭の薔薇の一株から、ふわりと人が姿をあらわした。
姫にはその人が汚れたティールームから自分を救い出すために薔薇の苑に舞い降りてきてくれたかのように見えた。
願いがかなったように。
心から祈った願いが。
姫は息をのみ、気がついたら椅子を鳴らして立ち上がっていた。
「エリノルさま!」
白いエイジェルステット家の聖衣が風を受け、裾を翻す。
マデリーネやクラーエス、アルノルドや召使たちも全員が振り返った。
明るい光を聖衣に集め、エリノルがゆるやかな足取りで庭を横切り、こちらへやってくるところだった。
「さあ、外へ参りましょう」
わたしは泣きたいような気持ちで自分の手をさしのべられた手にゆだね、やっと扉の外へと連れていってもらえたのです。
重ね合った彼の白い手がとてもきれいで、わたしは彼の指を見つめてしまいました。温かくわたしの手を取ってくれている美しい手。
目を上げると、その人のほんのりと輝くように白い肌に朝の薔薇の色の頬がふっくらとえくぼを刻んでいました。
長いまつげが美しくそろっていて、その目が穏やかにきらめいていました。
わたしは彼のまなざしがわたしに向けられる前に、急いで顔を伏せました。
そしてうつむいたままそっと瞳だけをそちらへ向けると、その人の肩が、わたしを預けたらしっかりと受け止めようと待ってくれていたらと願ってしまうほどそばにありました。
わたしはその人がクラーエス・アールストレームでなかったことを、父がただ一人の殿方として接することを許したクラーエスではなかったことを、心から感謝しました。
夢のように美しい人だったから。
目が合うと気後れがして、手を取られると体がふるえて。
隣にいらっしゃると思うと、心があやういように輝いてふわふわと足の運びをからませるようでした。
そんな途方に暮れたわたしに、その方は穏やかなほほえみを向け優しい言葉をかけてくださいました。
永遠にこの方と手をつないでいたい。
離さないで、わたしを。
お願い、エリノルさま。




