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薔薇のお茶会 4

 わたしは小さかった頃、ずっと王城の一室に閉じこめられていました。

 王城の最上階。

 どんなに泣いても、何が起こっても、わたしはここから出ることを許されなかったのです。

 絶対に部屋を出てはいけなかったのです。

 生まれながら病弱で、外の風に当たってはいけないと言われていたのです。

 そこは五つの部屋が一続きの間になっていました。そしておよそ女の子が欲しがるものは何もかもそろっているのだとみんな言いました。

 きっとそうね。

 衣裳部屋にあふれるドレス。

 ドレスに合わせた靴、帽子、レースの手袋、ハンカチーフ、アクセサリー、暖かな毛皮のコート、日傘の数々。

 毎日の食事に運ばれてくるごちそう、焼き菓子、スイーツ。

 大好きなグレタの薔薇水はいつだって用意されていました。

 王都で流行っているなにもかもが、必ずわたしの部屋へ持ち込まれるのです。

 舞踏会のまねごとを催した時のお客様は、いつもの使用人や数人の侍女たちと父、そしてクラーエスだけ。それ以外の人が入ってくることは、一度もなくて。

 みんなが入っては出ていく扉を、わたしは越えてはなりませんでした。

 わたしはずっと、そんな世界に閉じこめられていたのです。

 はめ殺しになった窓から外を見るだけの毎日が、どれほどわたしの心をふさいだでしょう。

 一つだけわたしにも開かれた内扉から外へ出ると、そこは空中庭園になっていました。

 きれいな花がいつも咲いていて、真ん中にはあずまやもあって。

 でも迷路のように作られているから広い庭のように錯覚するだけで、本当はたいした広さもなく、一番端までゆくとわたしの背丈の倍以上の高い石壁にぶつかって、やっぱりわたしは絶対に外へ出られないのだと知るだけでした。

 わたしを自由にして。

 外へ出たいの。

 外へ出たいの。

 わたしの望みはこれだけ。

 他には何一つないのに。

 それが叶わなくて、どうしてきれいなドレスを着た自分を楽しめるの?

 外へ通じる扉は一つだけで、いつも身の回りの世話をする数人の召使か侍女たちか父かクラーエスだけが、扉を開けるから。

 それ以外の人があの重い扉を開けてくれる日を、わたしは密かに待っていました。

 その人がわたしを光まばゆい外の世界へ連れ出してくれる日を。

 毎日、夢見ていました。

 心から願いました。

 ふるえるように、祈りました。

 そして十三歳のある朝。

 そんな叶わぬ夢が本当のことになったのです。

 なんの前触れもなく、その人は朝日を連れてやってきたのです。

 扉が開かれ。

 知らない人がやってきたのも初めてのこと。

 その人は他の人のようにそのまま扉を閉めるのではなく、優しく微笑んで、わたしに手をさしのべていざなってくれたのです。

「あなたの病はすっかり癒えました、さあ」

 この十年、誰も言ってくれなかった言葉。

「さあ、外へ参りましょう」

 わたしがもっとも聞きたかった言葉。

「外へ」

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