浅草~お台場へ
翌朝目が覚めた。
布団の柔らかさにしみじみと幸せを感じた。
窓から差し込む朝陽がカーテンを薄く透かし、部屋に柔らかな光を落としている。
僕は久しぶりにぐっすり眠れ、肩と背中のこわばりが、ほとんど消えていた。
さっそく僕は着替えて、寮を出た。
「明日は店休みだけど、宣伝用のパンフレットのモデルをしてほしいんだけどいい?」
と山口さんから頼まれていた。
歩く事20分。
白山の朝は静かで、道行く人がまばらだった。
店に着くと、山口さんと業者の人が話し合っていた。
「おはよう。ごめんね~、休みなのに」
山口さんが申し訳なさそうに言った。
カット中の様子、頭皮マッサージの様子などのモデルになりとても気持ち良かった。
髪も切ってもらえ、和やかな空気の中で、撮影は終わった。
その後、寛太郎さんと出かける約束があり、僕は待ち合わせ場所の白山の駅へと向かった。
すでに駅の入り口で寛太郎さんは待っており、僕たちは電車に乗って浅草へと出かけた。
浅草もテレビでしか見た事なく、実物の雷門の前に立って僕は感動した。
「お昼はどじょう鍋食べようか」
そう言う寛太郎さんについていくと、『どぜう』と大きく書いてある店に着いた。
店に入り、まずは木の枡に入った良い香りがする日本酒を呑んだ。
そうこうしているうつにどじょう鍋が運ばれてきて、僕は産まれて初めてどじょうを食べた。
食事が終わり店を出ると、寛太郎さんは水上バス乗り場に向かった。
「せっかくだから水上バスに乗ろう」
寛太郎さんはそう言ってお台場までのチケットを2枚買った。
水上バスは隅田川をゆっくり下り、徐々に海へ進んでいった。
風が頰を撫で、川面がキラキラと光る。
夕陽が沈み始め、水面が橙色に染まる頃、僕たちはお台場に着いた。
「夜景を見よう」
寛太郎さんが観覧車を指差した。
草っ原のような空き地や自動車の展示場のような所を歩き、僕たちは観覧車の前に着いた。
その頃には辺りはすっかり暗くなっていて、ゴンドラに乗り込むと、ゴンドラはゆっくりと上昇していった。
東京の夜景が、足元に広がり、遠くに見えるビル群の光が宝石のように瞬いていた。
「綺麗だな……」
僕は思わず呟いた。
寛太郎さんは微笑みながら、静かに頷いた。
僕は東京の夜景を見ているのが現実とは思えず、黙って夜景を見つめた。
淀屋橋のベンチで缶ビールのプルタブを開けた夜が、遠い昔のように感じられた。
やがてゴンドラは頂点に達し、ゆっくりと降り始めた。
その後、台場小香港という建物の2フロアくらいが全て中華料理店ばかりの所で食事をし、僕たちは帰途についた。
帰りは後楽園で電車を降り、僕は実物の東京ドームを初めて見た。
夜に浮かび上がるような東京ドームはとても美しかった。
読んでいただき、ありがとうございます。
文章を書くのは初心者ですので、読みづらいところは多々あるかと思いますが、よろしくお願いします。




