お出かけ③
僕たち一家は、目を向けた。
そこには、騎士に囲まれたところに戦闘大臣がいた。
「戦闘大臣様だ」
そう町は騒ぎ始めた。
(戦闘大臣ね…)
この世界には、いろいろな大臣がいる。
その中で、戦闘を担当するのが『戦闘大臣』。
戦闘大臣は、武器や防具の管理や戦争の把握などをしている。
(大臣もこんな小さい町に来るんだな)
そう思っている時だった。
お父さんが見るのに夢中でコインを落としてしまった。
コロコロと転がりそれは、大臣の進行方向へ転がり続けた。
そして…
『ドンッ』
と大きい音が町中に響いた。
大臣が転んだのだ。
「大丈夫ですか?」
そう騎士は大臣を囲む。
「大丈夫だ」
そういって大臣は、転んだ理由を探していた。
「これか…」
大臣はお父さんが落とした、コインを拾った。
「これは誰のものだ?」
そう大きい声で聞いた。
だが誰も返事はしない…
「誰だと聞いているんだ」
そんなとき、一人が言い始めた。
「あの人が落とした」
そういって、お父さんは指さした。
「…」
お父さんは驚いて、声が出せなさそうだった。
「君かね?」
「…」
すかさずお母さんがサポートする。
「はい。そうです」
「君は?」
「この人の妻です」
「あぁそうか」
「申し訳ございません」
そういって、お母さんとお父さんは頭を深々と下げた。
そうすると、戦闘大臣はそんなことを無視し腹を強く殴った。
その場に倒れる二人…
僕は腰が抜けて、その場に行けなかった。
「お前らみたいな下民が頭を下げるだけでいいと思っているのか?」
「「…」」
「頭は地面につけ、そして頭蓋骨が割れるほどに謝るのが普通ではないのか?」
「「…」」
二人は痛みで悶絶している。
そう黙ったいると…
またもや蹴った。次は顔だ。
二人はまた倒れた。
「しゃべれよ…口、ついてんだろ?」
「「…ごめんなさい」」
また蹴った。
「小さいわ。聞こえんぞ?」
「「ごめんなさい」」
また蹴った。
「ごめんなさい?知らんわ。お前らみたいなのが世を悪くするんだよ。
ゴミが」
「「…」」
その時、嫌な音が脳内でした。
『キュワァン…』
僕はそんなことを気にすることもできず、その場を見ていた。
大臣は舌打ちを打って、歩いて行った。
(僕は何もできなかった…)
そんな罪悪感に襲われた。
お父さんとお母さんは周りから冷たい目を受けながら、歩いてきた。
「帰るわよ」
小さい声で囁かれた。
そうして僕たちは、家に帰った。
家に帰ってから、お父さんとお母さんは蹴られた手当をしていた。
僕は自分が嫌になり、自分の部屋に行った。
(何もできなかったのか…)
僕はそんなことを思っていると、あの音を思い出した。
(あの音って天性が芽生えたときも鳴ってたよな)
僕は、指を上から下に動かした。
「変わってる」
そう呟いた。
ボードには…
『般若 level1 状態:中成』
そこにはレベルがアップしていた。