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天性の詳細②

「今から、天性の詳細を見るからな」


「うん…」


「もしかするとすごい天性だったのかもしれないぞ?」


「確かに…」


(まあ今更良い天性だといって変わることはあまりなさそうだな…)


僕とお父さんは話していたら

シスターさんは大きい台車を持って戻ってきた。


「ではこれに手を…」


台車には、大きな水晶が乗っていた。


「これは…なんですか?」


「これはね。天性の詳細を見ることができる水晶なんだよ」


「さあシライ。手をかざして見なさい」


僕はゆっくりと、手をかざした。

そうすると、水晶は光始めた。

まるで夜の月を反射している水のように…


「終わりましたよ」


僕は手をかざすのをやめた。


「では今から見てみますね」


そういってまたシスターさんはどこかへ行ってしまった。

その間、僕とお父さんは椅子に座った。


「どうだろうな…」


「うん…」


「これで天性失格者だとしても、俺とシライはずっと親子だからな」


「うん…」


「だから心配するな」


「うん…」


お父さんが僕を元気づけてくれていることがわかった。

そう話していると、慌てた様子でシスターさんが戻ってきた。


「ちょっと良いですか?」


「はい…」


僕を置き、お父さんだけが連れてかれた。


(やっぱり僕は、駄目なのかもな…)


僕は心の底から察した。


――――――数分後――――――


お父さんとシスターさんは戻ってきた。

お父さんの顔は、予想どおり暗かった。


「ど…どうだった?」


「シライ…」


「私から説明しますね」


シスターさんはしゃがんだ。


「天性の詳細なんだけど…」


「うん…」


「…無かった」


「え?」


「詳細が出なかったの…」


「なんで?天性に例外はないんじゃないの…」


「いや…私もびっくりしてて多分シライくんは『例外』なんだと思う」


「え…」


僕の勘は当たっていた。

僕はやっぱり『天性失格者』ということが…


「やっぱりね…」


「え?」


「僕も少し考えていたけど、やっぱりそうなんだなって」


「あぁ…でもね、説明だけ出てきたの」


「え?」


「説明はね…」


シスターさんは僕に、ある紙を見せた。


―名 シライ・ノウブル

天性:般若はんにゃ level1 

状態:生成なまなり

天性詳細 不明

天性能力 不明

―説明欄―

おのれのために戦う。

己を知ったと思ったとしても、真の己を掴むことは難しい。

真の己を掴んだ時、初めて自由を手にする―


「これが僕の天性の説明?」


「うん…」


(意のままに戦う?真の己?自由?)


僕の頭はパンクしかけた。


「この紙は持ち帰っていいよ」


僕はシスターさんに持たされた。


「わかりました…」


僕とお父さんは、教会のドアを開け言った。


「「ありがとうございました」」


深く礼をし、家に向って歩いた。

その間、僕とお父さんの間には一つの会話もなかった。

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