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世界よ、なぜ僕に失格者の烙印を押したのですか?  作者: 燐華織
第二章

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新郎から救出作戦① ―ナーガの親子―

僕たちが空間を繋ぐ〇を潜ると、その先にはあの日の景色が何一つ変わらず、目に映った。

――発展した街、緑色の整えられた草や道、咲き誇るエルバや花たち、そして世界を照らす『電球』…


(この鍵をもらってからの初めての訪問が救出とは…少し嫌な訪問かな、、、)


今更そんなことを内心思っていながら、村長の顔を見上げると、僕が今まで見たことのない顔をしていた。

その顔には驚きと希望、心配が入り混じったような感じだった。

だが傍から見ても一つ言えることは、希望に満ち溢れていた。


「こんな世界が存在…してたなんてな」


村長はそんなことを小さい声で呟いた。

その声には『希望』以外何も含まれていなかった。


「そうですね、世界は僕たちの知っているより遥かに広そうですね」

(やっぱり二回目でも驚いてしまうな、こんな世界があるなんて)


僕がそんなことを村長にいると、村長は少しニコッとした後、言葉を零した。


「だな、まだ私たちは世界という者の上っ面だけしか理解できていないのかもな」


何故かその言葉からは少し悲しみを感じた。

僕は少し頭を縦に振り、前救ったナーガの家の方向を指さしながら言った。


「あの家に住むナーガがこのネックスをくれたナーガです、少し話を聴きませんか?」


「なぜそんなことをするんだ?」


「もし娘さんと奥さんがこの世界連れ込まれたなのなら、何かしら変化があったんじゃないですか?

だって奥さんの痩せ細った遺体から何かしら異常なことがあったんですから」

(あの遺体は多少ヒントになるはず…だよな)


「まあ確かにそうかもしれないな…でもあそこのナーガが知っているという保証はあるのか?」

(なんでそんなに言うんだ?)


「いいえ、ないです…でも最低でも僕たちよりは住民だから知っているはずです」


村長は少し言葉を詰まらせた後、決心したかのような声で言った。


「…わかった、やってみようか」


そう村長は言うと、僕が指した家の方向へと早々歩いて行った。


(やっぱり行動力のある人だな…村長って)


僕はそんなことを思いながら、村長の背中を追って歩いた。



僕たちがナーガの家の前に着くと、僕は村長の前に立ち、ドアをノックした。


トントントンッ


中からはナーガ特有の歩く音が颯爽に聞こえ、玄関に近づいてきていることがわかった。

そして、、、


ガチャッ


ドアが開くと、そこには親ナーガが居た――僕よりも何倍も大きい体長にまたも驚いた。

ナーガは少し涙を浮かべ、僕をその巨体で包み込まれた。


「人間、様、来てくれた、の?」


そんな久しい、カタコトの言語が僕の頭の上から響いた。

その声からは、淋しかったかのような思いが込められていると感じた。

僕は抱き返しながら言った。


「あぁ、この世界に用事が出来てな…来させてもらったよ」

(なんでそんなに嬉しそうなんだ、、、)


僕がそう言うと、また強く包み込まれ、まるで感動の再会かというほどに抱きしめ合った。

だがナーガは少し経つと、勢いよく僕から離れた――その離れ方は異常で、まるで敵を察知したときの野生動物のような感じだった。

そして顔からも敵対の意志を感じた。

ついでに雰囲気も、何か動物特有の警戒?威嚇?のような感じだった。


(ん?いきなりどうしたんだ?)


そんなことを思っていると、ナーガはカタコトで力強く言った。


「人間、様、後ろの、人、だれ?」

(僕の後ろ?あぁ…)


「この人は僕の戦友だ、心配しないで大丈夫だ、この人は危害を加えないよ」


僕がそう言うと、村長は僕の前に出て、深くお辞儀をして言った。


「私はこの子が泊まる村の村長をやらせて貰っています。

私はこの世、あなた方に危害を加える気は一切ありません、ただ協力していただきたく来ました。

実は娘がこの世に苦痛を受けているかもしれないということで、、、」


そんなことを怯えるナーガの目をじっと真っすぐ見つめ、村長は言い切った。

村長の言葉、心そして目線は一切の揺るぎはなかった。

村長はまた僕の後ろに下がった。

ナーガもその揺るぎない心に感銘を受けたのか、少し雰囲気は消え、呟くかのように言った。


「娘、のため…救う、ため」


そう呟いた後、ナーガからは警戒の意志は無くなったように見えた。

ナーガは僕に少しづつ近づいた。


「この人、いい、人?」


ナーガは少し戸惑いながらも、僕にそう質問してきた。


「あぁ、僕が背中を何気なく見せるくらいには信頼している人だ」

(まだ嘘かどうか疑っているんだろうな、、、)


そう言うと、ナーガは戸惑いが無くなったかのように、表情が戻り、言った。


「人間、様が言う、なら」


そうナーガの言葉と被せるように、家の中から『ママ』と呼ぶ声が薄っすらと聞こえた。

僕がそれに気づくと同じくらいのタイミングで、ナーガの後ろを走ってくる子ナーガが来た。

子ナーガは僕の顔を見ると、顔色を変え、僕の足の方に抱き着いた。


「ありが、とう」


そんな小さいまだまともに喋れていないカタコトもカタコトの言葉で感謝を伝えられた。

僕は子ナーガに笑顔で言った。


「元気になったのか、よかったよ」


僕がそう言うと、子ナーガは可愛く頭を縦に振り、僕に笑顔を見せた。

その笑顔からは、何故か『かわいい』という言葉以外出てこないほどだった。

そんな子ナーガをナーガは持ち上げ、赤ちゃんを抱くように抱え、言った。


「勝手、に、抱き着いちゃ、ダメ――」


そんな少し怒った口調で叱った後、、、


「でも、お礼、言えたね」


そう優しい口調で言った。

そんなナーガを見て、子ナーガはニコッ笑い言った。


「うん」


ナーガは子ナーガを立たせ、ナーガは僕たちの方を見て言った。


「上がって、お話、しよ、う」


「あぁ、失礼するよ」


僕がそう言うと、村長もお辞儀で感謝を伝え、僕と村長は初めてこの世の家に上がった。

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