事前準備① ―自分たちの装備―
僕たちはそう誓ったあと、勢いよく座った。
「じゃあまずはなんの準備をしようか」
「そうですね、、、やっぱり防具とは武器とかじゃないですか?」
「やっぱり、そうだよな、、、」
そういうと、村長は僕の身に着けている防具をじっくりと見た。
「な、、、なんですか?」
「いやな、シライ君の防具だいぶボロボロだなって思ってな――こんな防具で戦えているのが奇跡と言ってもいいほどだ」
僕は自分の防具を見た。
――全体的にかすり傷のようなものが多く、足の防具は泥がべっとりと付着していた。
「自分はあんまり拭いたりしなくて、、、だから」
「それじゃあ駄目だな、そしたらこっちで新しいの創ろうか?」
「いや、、、」
そういうと、村長は驚いた顔をして、僕に質問してきた。
「なぜだ?その防具に何かあるのか?」
「いや、そういうわけじゃなくて――この防具、最期に親が買ってくれたもので」
そういうと、村長は少し気まずそうな顔をしながら、聞いてきた。
「本当に不謹慎なんだが、親御さんは…」
「もう亡くなってます、、、」
「そうだったのか、、、思い出を壊すような発言をしてしまったな」
「いえいえ、あの時確かにだいぶ絶望しましたけど、今はそんなに絶望はしてないので」
「でも、、、ごめんな」
「本当に気にしなくていいですよ――逆に気にされると悲しくなってしまいますので」
「そうか、、、」
そういうと、少しの沈黙の後、村長は気まずそうに言った。
「じゃあその防具を溶かして、新しいものにするのはどうだ?」
「溶かす、、、」
「あぁ、この村にも一応、鋳物師がいるんだ」
「そうなんですか、、、」
「やっぱり、嫌か?」
「そういうわけじゃなくて、デザインがどうなるかって心配してて」
「あぁ、デザインなら頼めばできるが、、、」
「じゃあお願いしてもいいですか?」
「あぁ――どんな感じにするんだ?」
「今の防具とほとんど変わらない感じで、、、」
「そうか、あとは何か追加するか?」
「じゃあ、胸のパーツの○を二つにして、中に小さな黒い○をお願いします」
「ほかには何かあるか?」
「そしたら、二つの胸のパーツに線が集まる感じにしてください」
「あぁ、ほかにはないか?」
「これで大丈夫です」
「わかった、足の防具にポケットはあったほうがいいか?」
「それはお願いします!」
「わかった、じゃああとで依頼してくるよ」
「わかりました、でもそんなすぐできるんですか?」
「大丈夫だ、うちの村のは凄腕だからな」
「じゃあ安心です」
そういうと、村長は思い出したかのように言った。
「そういえば、ナイフはどうするんだ?」
「ナイフは、、、大丈夫です――作り直さなくて」
「そうか、、、わかった」
「はい」
そういうと、興味深そうに言った。
「一度見せてくれはしないか?」
「いいですけど、、、」
僕は足からナイフを取り、村長に渡した。
――村長は見てすぐに驚いていた。
「これは、随分と使ったんだな」
「はい、オオカミとか狩ったり、オオカミ解体したりしたので」
「そうだよな、だってすっごく使った跡がある」
「そういうのも分かるんですね」
「あぁ、というかこれを見てわからなかったらやばいほどだ」
「そんなに、、、」
「というか、シライ君はナイフ以外は持っていないのか?」
「持ってないですよ」
「そうなのか、、、危険じゃないか?」
「だって重いんですもん、持ち上げるのが精一杯なのに振るなんてとても、、、」
「そうなのか、確かにシライ君は背が小さいから、筋肉量的に難しそうだな」
「そうですよね、、、ていうか馬鹿にしてます?」
「いやいや、そういうわけじゃなくて、背が小さいというのは、子供という意味だ」
「そうですか、、、」
確かに僕は、背が『まだ』小さい。
――105cmだ。
「やっぱりナイフがいいのか、、、」
「はい」
「じゃあそうだな、、、」
そういうと、村長は少し黙り言った。
「このナイフじゃ危ないな、予備を持って行かないか?」
「予備、、、ですか――でも予備なんて…」
そういいかけると、村長は自信満々に言った。
「うちには地下があるんだ、そこにナイフとかいろいろある」
「そんな部屋があるんですか、、、」
「どうだ?見て良さそうな物があったらあげよう」
「いやいや、いいですよ」
「いや、シライ君は私よりはるかに強い――だから武器も使われないより、使われた方がいいだろ?」
「まあ、そういうもんなんですかね、、、」
「あぁ、だから一度見に行かないか?」
「わかりました、いいものがあればもらっていきます」
「あぁ」
「そういえば、村長はなんの装備を身に着けるんですか?」
「私か、私は鬼使団時代の物を使うよ」
「鬼使?」
「知らないか、鬼使団っていうのは、天性に合った依頼を受けてお金を稼ぐ依頼所だ」
「そうなんですか、、、」
(僕には縁のない場所か、、、)
そう思っていると、村長は立ち上がった。
「じゃあ行こうか、地下に」
「はい――防具はどうしますか?」
「あぁ、そうだったな――そしたら今ここで脱いでくれ」
「え、、、ここで?」
「あぁ、持っていくからな」
「わかりました」
僕は久々に自分の私服を見た。
――私服は汗が多くしみ込んでいた。
そして防具を村長に渡した。
「じゃあ、行こうか」
「はい」
僕はバックにナイフを入れその場に置いて、村長が言う方向に向った。
――階段を降り、家の端っこまで来た。
「ここだ」
そういって、廊下に敷いてたカーペットをずらすと、蓋のようなものがあった。




