心の底にある本題
「ありがとうございます、こんな悔しき背景があるんですか、、、」
そういうと、村長は忘れていたように言った。
「そうだ、まだ話していなかったことがあったな」
「そうなんですか、なんですか?」
そういうと、村長は立ち、部屋の机の引き出しから紙を取り出して、戻ってきた。
「これだ」
そういって僕に、手渡してきた。
――それはまるで手紙のようだった。
「これは?」
「読めばわかる」
封筒を開け、中の手紙を広げた。
――そこには血で書かれた文字があった。
――親愛なるお義父さんへ――
私たちは今とてもじゃないほど幸せです。娘さんはよい活躍をされています。
この活躍もお義父さんの教育の良さですね。
娘さんは、誰にも優しく良い子です。
苦しいことがあってもまったく落ち込まず、ハキハキとしています。
本当にお義父さんには感謝してもしきれません。
██████████████████████
最後の文字は血で滲んで見えなかった。
「これは手紙ですか?」
「あぁ、多分あの男からの手紙だ」
「そうなんですか、、、まるで違いますね」
「あぁ、最後の言葉とは、変わりすぎている」
「そうですよね、、、」
そういうと、村長は最後の読めない場所を指さした。
「ここなんだが、代読師という天性の奴に読んでもらったんだ」
「代読師?」
「あぁ、代読師っていうのは、書いた者の心境、何が書かれているかがわかるんだ」
「そんな天性があるんですか――そしてここにはなんと?」
「ここにはな、、、」
村長は自分の手で口を隠し、涙を流しながら言った。
「ここにはな、『文字を書くのに使った血も、娘さんの頑張りですよ』と書いてあるらしい」
「え、、、」
僕は衝撃を受けた。
――血で書かれていることに違和感はあったが、予想の斜め上を行っていた。
「この手紙が届いた時にな、『妻の痩せ細った死体』が玄関の前に置かれていたんだ」
「は、、、じゃあ奥様は…」
「あぁ、もうこの世にはいない――だからこの手紙の内容は嘘だと思っているよ」
「そう思ざるを得ないですね、、、」
「あぁ…」
そういうと、机を拳で殴った。
バンッ
「あいつを殺す、そして救わなければいけないッッ」
僕はその言葉に隠れていた記憶が蘇った。
『、、、殺す、いや――制裁だ』
僕はこの出来事を自分のことかのように、苛立った。
「僕もそいつを殺すべきだと、、、心から思います」
そういうと、作った笑顔を僕に見せながら村長は言った。
――その目には光がなかった。
「でもな、もう無理だ」
「なぜ?そう諦めているんですか?」
「だってな、こいつの居場所がわからないからだ」
その時、僕の頭に特徴がフラッシュバックした。
(そいつはナーガである)
僕の頭がそう認識する前に、僕の口は動いていた。
「諦めるなんて、恥ずかしいですね」
「は、、、?」
「『諦めていいのは、運命と死に方のみ』」
「は?何を言っているんだ…」
「村長、あなたは心から諦めているんですか?」
「、、、ない」
「なんて?小さな覚悟は聞こえないですよ」
「諦めているわけないだろぉぉ、毎日毎日殺したいと思って生きているさぁぁ」
「この本心を僕になら汲み取れます――僕には、あいつの居場所に行くことができます」
「え、、、そんな戯言…」
「まずは嘘を吐いてすみません――でも本当に行くことができます」
「だから、何を言って…」
「僕はナーガの生息地に行くことができるのです」
「え、、、」
「僕は、今回の依頼でナーガの母親に連れられ、子供を助けました。その時に――」
僕は首に掛かったネックレスを村長に見せた。
「これをいただきました、これはナーガの世界に行けるいわば『鍵』です」
そういうと、村長の目には、光が宿った。
「ほ、、、本当か?」
「僕はなんと言いましたよね、『僕ならそんなくだらない嘘を吐きませんね』と」
「そうだったな、シライ君は私に、その言葉を言ってくれたな」
「はい、僕はくだらない嘘が嫌いなので」
「そうか、、、」
「道が開かれた今、何をしますか?」
「、、、ぶっ殺しに行く」
「そうですよね、それしか『ない』ですよね」
「あぁ、そうだな」
「でも、僕の辞書にはこう書いてあります――事前準備9割、本番1割」
「その言葉、私も好きだ」
「じゃあまずやることと言ったら?」
「『準備をすること』だな」
「excellent、じゃあ明日の早朝に出ましょうか」
「そうだな、こんな信用できる戦友がいることを誇らしく思うよ」
「そんなことを思うのは、ぶっ殺してからでもできますよ」
「あぁ、そうだったな」
僕たちは席から立ち、強く握った拳でお互いの肩を押し、誓った。
「「あいつをぶっ殺すッッ」」




