仲いい僕の家族①
爽やかな風と、人々が賑わう声が響く、平和な村【ライラス】で王は大胆なことを町の広場で高台を建て言う。
「一人ひとりが強みを持つことができる、勝ち組の世界に生まれた幸せ者たちよ」
そんな王の無責任な言葉に、村人は歓声を上げる。
この王は、【ピーシー】の国を収める20代の若き王だ。
――そしてこの国の端にあるのが、この村だ。
「ねぇねぇお父さん!僕の天性って何だろうね!」
僕は笑顔でお父さんを見上げて、聞く。
「そうだな。もしかするとすごい天性かもな」
お父さんも、僕のそんな質問に笑顔で答えた。
僕とお父さんは、一緒に広場に居た。
――広場は、木で覆われていて、ゆっくりな優しい風が吹いている。
そんな会話をしていると、お母さんの僕たちを呼ぶ声が聞こえる。
「お父さん。もうご飯だから準備手伝ってちょうだい」
そんな明るい声が聞こえる。
お父さんは、お母さんの声を聴き僕に言う。
「じゃあ、家に帰ってご飯でも食べるか!母さんのおいしい料理だぞ!」
「やったぁ!」
僕たちは、手を繋ぎながら家に帰り、早々と食事の準備をする。
「シライ!これをテーブルに持ってってくれないかしら?」
「うん!」
僕はお母さんの一つの料理小さな両手で持って、自分より少し背の高いテーブルに背伸びをしながら慎重に置く。
そんな様子を見たお父さんは僕に言った。
「シライは3歳なのに、すごいな~」
僕はその言葉に、お父さんの顔を見ながら、両手を腰にやり意気揚々に言った。
「うん!僕は凄いもん!しっかり者だもん!」
そんな言葉に、お母さんは話に割り込む。
「そうかしら?前はおもら…」
僕は、焦ってお母さんの話を遮った。
「あれは事故だったもん!」
そんな僕の焦った様子を見て、お父さんは小馬鹿にしたように言った。
「そんなことあったのか!まだまだ一人前じゃないな」
「今は違くても、絶対しっかり者になるもん!」
っというと、お母さんとお父さんは笑った。
そして僕もそれにつられ笑った。
そんな面白くないことでも、笑う声が家に響く僕の家族はこの国一番の仲がいい家族だ。
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