第3話
「今日はこの話を投稿ーっと!」
スマートフォンの液晶画面をタップする。
投稿完了の文字が表示された。小説の管理画面を開いて総合評価四ケタのポイントを眺める。
浅原からうばって投稿した小説の評判は上々だ。日間、週間のランキングに載ってからは、ポイントが増えるスピードがさらに上がった。
自分の存在が世間に認められている充実感! もうニヤニヤが止まんないね!
気まぐれであの陰キャに話しかけてよかったー。
以前ネット小説がどういうものか友だちに聞いたことあった。書籍化までいったらお金になるって聞いたから一種の投資がわりに声をかけたけど、まさかここまでポイントが伸びるなんて。
こんなになっちゃったらもう手離せない。
この小説は私のもんだよ。何を言われたって絶対返さない。
だって陰キャは陽キャに捧げるのが仕事だもんね。これは話しかけてやったお給金! 私がおいしい思いをするのは当然だもん。
スマートフォンに通知が入った。メッセージのアイコンをタップしてメールの中身を確認する。
思わず目を見開いた。
「えっ、書籍化⁉」
思わず大声を上げた。
メールの差し出し主はなんと編集者。てめなろー文庫から書籍化の打診が来た!
聞いたことがある。小説サイトで小説を投稿していると、編集者から書籍化の打診が来ることもあると。
まさかこんな簡単に作家になれるなんて!
「うそマジ⁉ これ現実⁉」
笑いが止まらない。
ヒット作家になったらお金がもらえる! 女子高生作家なんていかにもって感じでかっこいい! また私完璧に近付いちゃうなぁ。
「こりゃ受けるしかないっしょ!」
迷う間もなく返信を書いて送った。
楽しみだなぁ。印税入ったら何買おうかなぁ。
あーもう最高! 私人生勝ち組だわ!
読んでいただきありがとうございます。
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