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第2話


 失意のまま放課後を迎えた。


 クラスメイトが次々に席を立つ中、俺だけが椅子から立てずにいる。


 立ち上がるのもだるい。数か月の積み重ねをかすめ取られたんだ。執筆を初めてから今に至るまでの時間を否定されたみたいでガクッとくる。


「何で俺がこんな目に」


 視界を人影が横切る。


 反射的に視線で追った先には田中の姿。視線に気付いた田中がニッと笑む。


 思えば田中に声をかけられたことから始まった。スマートフォンの液晶画面を夢中になってタップしていたら突然話しかけられた。


 執筆中の小説。委員長に言われても見せるつもりはなかったけど、田中はひそかに想いを寄せていた女子だから断り切れなかった。

 

 田中さんは面白いと言って、次の話も読みたいと言った。


 初めての感想をもらえたことが嬉しくて俺はうなずいた。書きためていた話を見れるようにアカウントのアドレスやパスワードを教えた。


 まさか俺が書いた小説を小説サイトに投稿していたとは。何で田中さんなんかを信じてしまったんだろう。


 他の人にとっては取るに足りない駄文でも毎日コツコツと書いてきた。


 なやんで、筆が止まって、それでも楽しかったから物語をつづった。


 それが俺の選択で台無しになった。田中さんに裏切られたことよりも、大切な小説を大して親しくもない相手に預けた自分が情けなくて仕方ない。


 くやしい。


 こうなったらもっといい物語を書いてやる!


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