表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好きだった女子に小説を盗まれたけど、もっと可愛い女の子と仲良くなれたからまあよしとする  作者: 磯野カジキマグロ
2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/71

第14話


 俺は玄関に宇曽田さんを迎え入れた。


 田中さんと関わっていた人だ。少なからず苦手意識はある。


 でも宇曽田さんは盗作した田中さんに怒っていた。多少は信用できる人のはずだ。


 とりあえずリビングに通した。ソファーに座ってもらってお茶を用意する。


 お菓子はなんかあったっけ? クッキーでいいか。


「浅原さんは一人暮らしをしているんですか?」

「はい。高校進学の際に一人暮らしを始めたんです」


 お茶請ちゃうけと茶碗でおぼんの上をかざった。リビングに戻ってセンターテーブルの上に置く。


「どうぞ」

「ありがとうございます。気をつかわせてすみません」


 ソファーに座って宇曽田さんと向かい合った。


「それで、俺に何か用でしょうか?」

「はい。事の成り行きを説明しようと思いまして。浅原さんには聞く権利があると思いますから」


 ってことは、田中さんが盗作した作品についての説明か。


 あれはもう田中さんと出版社の問題だ。わざわざ俺に言わなくてもいいのに。


 もしやあれか。盗作に気づかず本を出したことへの罪悪感があるのか。


 聞くだけならタダだし、まあいいや。


「そうですね。では事の顛末てんまつを聞かせてください」

「分かりました。と言っても、まだ本当の意味で片付いてはいないんです。なので決まったことだけ説明させていただきます。まず、田中さんとの契約は切らせてもらいました」


 ちょっと驚いた。


 てっきり連載を続けるために、俺を説得しに来たとばかり思っていた。


 俺から許可を引き出せれば盗作で訴えられるリスクはなくなる。本を自主回収しなくてもすむ。出版社からすればそれが一番のはずだ。


「契約を切ったってことは、本は絶版ですか?」

「いえ。その辺りは検討している段階です」

「検討? 原作者との契約は切ったんですよね?」

「それはちょっと違いますよ。田中さんは原作者ではありませんから」


 真の意味ではそうだけど、ちょっと言ってる意味が分からない。


 小首をかしげていると、宇曽田さんが背筋を伸ばした。


「浅原さん、ここから先はビジネスの話をさせていただきます。田中元先生の代わりに続きを書いてみませんか?」


 言葉の意味を理解するのに数秒かかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ