第1話
「どうして俺の小説を盗んだんだ!」
クラスメイトの女子をにらみつける。
女子の名前は田中牧さん。俺がひそかに想いを寄せていた女子が目の前で意地の悪い笑みを浮かべている。
「証拠あんの?」
「え?」
「だから証拠だよ証拠。まさか私が盗んだ証拠も無しに盗作疑惑かけたわけじゃないよねえ?」
「それは」
証拠なんてあるわけない。
でもそうとしか考えられない。
「俺はまだあの小説を投稿してない。あれを投稿できるのはお前しかいないんだ!」
「だからって私がやった証明にならないでしょ?」
「一字一句同じなのに田中さん以外誰が盗んだって言うんだよ⁉」
「おい牧、いつまでそこの陰キャと話してんだよ?」
廊下に金髪の男子が現れた。チャラい。
「武谷聞いてよー。こいつ私に言いがかりつけてきてさー」
「まじかよ、そいつ最低だな。そんなド陰キャほっといてこっち来いよ」
「うん! 今行くー!」
「待てよ、まだ話は!」
「終わってるっつーの。んじゃそういうわけでもう話しかけてこないでねー」
田中さんが背中を向けて小走りする。
追いかけようと思ったけど正面には田中さんの男友達がいる。下手に追ったらあることないこと言われそうだ。
小説を盗られたのに何も言い返せない。くやしさで涙が出た。
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