絵描きとアイドルの未来
六歳の安云絵は、画家を夢見て日々絵を描きながら過ごしていた。そんな彼女の前に現れたのは、引っ越してきたばかりの隣の家の少年、蓮。小さな体に大きな夢を抱える蓮は、アイドルになることを決意していた。二人は子供ながらに互いの夢を応援し合い、固い約束を交わす。「未来、絶対に夢を叶えよう。」だが、時が経つにつれて、二人の道は次第に離れていく。
アイドルとして名を馳せた蓮と、画家としての道を歩み始めた云絵。彼らは再び運命の糸で繋がることになるのか? 幼いころに交わした約束を胸に、それぞれが辿る未来の物語。
すべての素晴らしい物語は、盛夏に始まるようです。
六歳の雲絵は、人生で最初の小学校の夏を過ごしていました。ここで、すべての物語が始まりました。
零年代の頃、家にはまだスマートフォンはなく、暇つぶしに使えるのは古いテレビだけでした。赤い布で覆われたテレビはアニメを放送しており、雲絵はそのアニメを何度も見たことがありました。小さな雲絵は、床に敷いた冷たいマットの上でうつ伏せになり、長時間絵を描いていて、腕には跡がついていました。それでも、痛みを感じながらも、絵を描き続けていました。
アニメのキャラクターたちは、ちょうどテレビで放送されているアニメの登場人物でした。
小さな雲絵は、アニメの登場人物を真似するのが好きでした。自分の絵を見ながら、母に自慢しようと思ったその時、ちょうどおばあちゃんの声が聞こえてきました。
「蓮、早く来て。妹に挨拶してあげなさい。」
雲絵は絵を持ってドアのところに走り、ちょうど見たことがある小さな男の子を見かけました。
その男の子は少し小麦色の肌をしていて、大きな目に長いまつげがあり、顔立ちがとても整っていましたが、表情は意外と冷静で、背中には小さなリュックを背負っていました。他の子どもたちは背中が丸くなっているのに、目の前の男の子は驚くほど背筋を伸ばしていました。
雲絵はその男の子を見て、おばあちゃんを見ましたが、あまり何も言わずにそのまま立っていました。
「この子は新しく引っ越してきた隣の家の子で、あなたのお母さんの友達の子よ。お父さんとお母さんは引っ越しの準備をしているから、先にうちに来たの。」
「蓮、うちに来て遊んでね。」雲絵はにっこり笑いながら挨拶しました。
普段、おばあちゃんと一緒に過ごしている雲絵は、おばあちゃんから礼儀を教わっていて、相手に自分から挨拶をするのが普通だと思っていました。目の前の男の子が少し恥ずかしそうだったので、雲絵は少し積極的に話しかけました。
雲絵は男の子の手を取って、すぐに自分の部屋に案内しようとしました。
蓮は驚いた様子で少し戸惑いながらも、仕方なく雲絵についていきました。
「私は雲絵。『雲』は空に浮かぶ雲、『絵』は絵を描くことよ。私は絵を描くのが好きなの。あなたは?」
「僕は蓮。」説明しづらい名前だと思ったのか、蓮はリュックからノートを取り出し、田字格に自分の名前を書きました。
「わぁ、字がすごくきれい!私のママも私に字を書かせようとしてるの。」
「君も小さい頃から字を書いてたの?」
「うん、両親は僕に小さい頃から書道を習わせていたから。」
「すごい!書道って、かっこいいね。」
「私の部屋を見せるね。」
部屋は完全に女の子らしい空間で、ピンク色の花柄の布団が広がっていました。
蓮は興味津々で部屋を見渡し、絵に関するものがあちらこちらに散らばっているのを見て、少し驚きました。
「絵を描くのが好きなんだね。」
蓮は何とか話を繋げようとしましたが、やはり少し不器用で、ただその事実を聞いてしまいました。
「うん!私は将来画家になりたいの。あなたは?」
雲絵は自信満々に答えました。彼女の目は、将来画家になれると確信しているかのように輝いていました。
蓮は思わず雲絵に影響されて、彼女の夢を信じるような気持ちになりました。
「僕は将来、アイドルになりたい。」
「わぁ、それはすごい!あなたは本当にかっこいいから、きっとテレビに出るようになるよ。」
「ありがとう。」
蓮は自分の夢を他の人に話すのは初めてで、いつもからかわれていたので、誰かが真剣に信じてくれるのは新鮮でした。
「私は君がアイドルになるの、きっと信じてる!」
「うん。」
その年、彼らは6歳で、永遠の友達になることを約束しました。
皆さん、私の文字を気に入っていただけたら嬉しいです!ありがとうございます!