ケース4「男女逆転薬①」
窓だ。
今日も今日とて、科学室にて新薬作りに勤しんでいる。
これこそが生き甲斐であり、これこそが僕の全てである。願うことなら誰も邪魔しに来ないでくれ。
「たのもー!!」
"ガラガラ"
・・・来たか、来てしまったか。最早ノックもせず金子さんは科学室に入ってくる。相変わらず立派なお胸をお持ちなので眼福なのは良いのだが、ここのところ毎日来るのでウンザリしている。
金子さんの用件は勿論アレだろう。
「今日こそ胸を小さくする薬を作ってもらうぞ!!」
はぁー、しつこい。何度も何度も作らないと言っているのに、いい加減諦めてくれ。
「作りませんよ。それよりバストアップの薬をもう一回飲んでくれませんか?もう少し詳しくデータを取りたいので。」
「うん、分かった♪・・・ってなるかボケ!!二度とあんな卑猥な薬は飲まんぞ!!」
「えぇ、せっかく作ったのに。チェッ。」
金子さんってノリツッコミとかする人なんだ。意外だ。
「バストを小さくする薬を早く作れ!!」
ゴリゴリ来る。体育会系のノリは苦手だ。大体そう簡単に薬が出来たら苦労しないのだ。
「あ、あのですね。実は一回作ろうとしたんですが、上手く出来なくて無理だったんですよ。それに出来たとしても、時間制限付きの効果にするか、それの対となる元に戻す薬が出来るまで服用させられません。」
「むっ、なんだそれは。」
明らかに不服そうな金子さん。だがそんな顔されても永続性のある薬はあげられない。もう二度とあんな悲劇を起こしてはならないのである。
次回に続く