ケース0「自己紹介」
僕の名前は窓 西縁。高校2年生の科学部部長である。くせっ毛、低身長、丸眼鏡の自分で言うのもなんたが冴えない感じの男だが、放課後に白衣を着れば高校生科学者になれる・・・まぁ、自称だが。
自称といえども、これまでの研究で、かなりの数の薬を作り出した。即効性のある風邪薬から、漫画に出てくるような魔訶不思議な薬まで、人体実験出来ていない物も多いが、いずれはこれらの薬の特許を取り、印税生活で何不自由なく暮らしていくのが僕の夢である。
放課後、科学室に着くと、私はマイ白衣に着換え、こっそり持ち込んだコーヒーメーカーでブラックコーヒーを淹れ、それを取っ手付きのマイビーカーに移して飲むのが日課である。ビーカーでコーヒーを飲むと如何にも科学者らしい。形から入るのが大好きな僕である。
「窓先輩。」
「ぶっ!!」
突然、後ろから声を掛けられてコーヒーを少し吹き出してしまった。僕に話し掛けた人物も検討は付くし、こんなことは一度や二度じゃないが、慣れるものではない。
後ろを振り向くと、そこにはおさげ髪、四角メガネで白衣姿の冴えない感じの女の子が立っていた。
「み、御影君、ビックリするから後に立たないでくれといつも頼んでるじゃないか。いい加減やめてくれたまえ。」
「すいません、つい。」
注意する時、御影君はいつも申し訳無さそうにするから、僕はあまり強く言えない。
御影 光君は、僕の一つ下の高校一年生で、科学部の後輩に当たり、副部長である。とはいえ今は科学部は僕と御影君の二人しか居ないので、強制的な副部長である。
「ま、まぁ、今日も楽しく研究しよう。準備を始めようか
。」
「は、はい。」
何処かぎこちない私と御影君。これにはとある事情があるのだが、今は深くは語るまい。
こうして実験道具を用意していると、突然の入り口の戸が叩かれた。
"ドン!!ドン!!"
「たのもー!!」
おいおい、あんなに激しく戸を叩いて「たのもー!!」なんて言う奴はきっとロクな奴じゃない。そうじゃなくても我が科学部に用事がある奴はロクな奴じゃないのだから、きっと、とんでもなくロクでもない奴である。
ここは居留守でも使ってやり過ごすか。
「はい、今開けますねぇ。」
って、おい!!開けちゃうのかい!?御影君!!おもくそ嫌な予感がするが、とりあえず次回に続く。