第ニ章 後悔しないように (2)
引っかかった。
『Sun』
これ、ホームページかな?
じっくり見るために、住宅街の中の公園のベンチに移動した。
日陰のベンチは暑くなくて心地よかった。
ホームページを開けた僕は驚く。
・・・え、これ、電話番号だけ?
今、土曜の昼だけど、かけていい、のかな?
僕は電話をかけてみることにした。
プルルルル、プルルルル・・・
『こちら、留守番電話サービスです』
留守番電話って、メッセージ残すやつ、だよな。
特にないから、やっぱりやめようかな、電話。
『名前、学年、用件をお話しください』
これ、切ってもいいものなのか?
今行くところがない僕にとって、今日だけでも寝るところが欲しい。
ネットカフェとかでもいいけど、僕の中の気持ちの整理ができない。
このまま、家に戻ったところで、僕がちょっといなかっただけ。
そのまま高校に行って、親がどんどん痩せていくの見て、後悔するの?
「すみません。家出しました。中学3年の宇治って言います。
今、行く当てがなくて。両親と将来のことで口げんかしました。嘘ついて家、出てきました。
すみません、やっぱり、こんなの、人に頼むことではなかった・・・」
自分で話してて、なんか、迷惑な気がしてきた。勝手に家出した奴が、行く当てがないっていくら言おうが、その人には関係ないから。
なのに・・・
『電話に出るのが遅くなってしまい、申し訳ございません』
電話が通じた。
「えっと・・・大丈夫です」
『これからお時間ありますか?』
「はい」
『待ち合わせ、しましょう。どこか人が少ないところや、あなたの都合のいいところ、ありませんか?』
待ち合わせ・・・?!
「場所ではないんですけど、僕、両親や友達の見つかりたくないので、早めがいいです」
『今の場所は家から遠い?』
「徒歩二十分くらいです」
『海、ありますか?』
「海ですか?近くに国立公園がある海?」
『はい。国立公園まで、どれくらいかかりますか?』
「十分あれば行けると思います」
『では十分後に国立公園前で。私はあなたを救いたい、その思いしかないことを、伝えておきますね』
「はい。行きます」
ツーツーツー
・・・なんか、大変なことになったな




