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第一章 私にも・・・ (1)
朝5時に起きて、裏口から海へ行って、ただぼーっとする。これが私の一日のスタートだった。まだ暗くて、誰もいない海は、私を一人にする。期待も苦痛もない今の私は、私らしく生きることができてると思う。
だけど、時々、家に置いてきた弟のことを、両親のことを考える。あのときは考えれなかった、『両親は自分のことをどう思っていたのか』を、今考える。
もちろん、わからないけど。
そんなことを考えて、海を去る。
家に帰るとメリーは起きていた。
「メリー、おはよう」
「おはようございます、エレナ様。今日の予定はいつも通りです。朝食はトーストとコーヒーをご用意しました。」
「わかった」
私は朝食を食べて、仕事着に着替えて、表に行く。
「メリー、始めましょう」
「はい」
今日も私の仕事が始まった。
少しすると、電話がかかってきた。
「メリー、アナウンス、お願い」
「はい」
私達は、電話に直接出ずに相手の用件がわかるシステムと、固定電話とパソコン2台を繋いだ装置を使って仕事をする。
『こちら、留守番電話サービスです。名前、学年、用件をお話しください』




