第三章 選択肢は一つじゃない (1)
朝
私の一番嫌いな時間だ。
ベットから起きれなくて、そのまま一時間が、経つ。
そしてやっと動けるようになって、ベットから起きて、リビングに行く。
「お母さん」
「・・・」
「休んでいい?」
「・・・」
「お母さん」
「うるさいわね!いいわよ!連絡しとくから!勝手にしなさい!ご飯は勝手に作って食べなさい!家の鍵は閉めなさい!」
「はい・・・」
いつものこと。
私が学校に行けなくなってから、母はこんな感じだ。
今で仲良かった私達が、急に仲悪くなったように、母は私に対して強く当たるようになった。
母が、何に対して怒っているのか、私にはわからない。
でも、母は私が学校をサボっていると思っているのは確かだろう。
本当は、そうじゃない。
サボってなんかない。
でも、言えない。
私の言葉は、きっと誰も信じてくれない。
あの日から、世界のすべてが嫌いになった。
学校も、親も、世界も、人間も。
そして何より、『友達』を。
私は部屋に戻ってベットに横になる。
眠れないけど、横になる。
そうしたら、少しだけだけど、疲れはなくなる。
この部屋にも、本当はいたくない。
思い出ばかり、あるから。
でも、この部屋しか居場所がない。
だから、しょうがなくここにいる。
この部屋は、過去になく汚い。
割れた鏡とその破片、折れた鉛筆やシャープペン、破られた紙や書類・・・が床に散らばっている。
掃除してないんじゃない。
掃除するとすぐにこうなってしまうんだ。
だから、掃除しない。
元はキレイ好きで、部屋もキレイで、お小遣いが、入ればかわいい家具や小物を買っていた。
けれど、もう、そんなものはいらない。
誰も家に来なければ、私しかここには入れない。
元々ついていた鍵に、100円ショップで買った鍵付きの南京錠が4つついている私の部屋のドアは、今では誰もノックしない。
ああ、どうしたらいいのかな。
どうしたら私は元の私に戻れるのかな。
これからどうするのかな。
これからどうしたら生きていけるのかな。
学校なんて行きたくない。
行ってなんの意味があるんだろう。
どうしてみんな、仲良くなれないんだろう。
どうして、私はこうなんだろう。
どうしたら、お母さんは怒らないんだろう。
どうしたら、良かったんだろう。
なんで、こうなったんだろう。
できることなら戻りたい。
あの、私が苦しむ前の世界に。
そんなことを考えながら、私は部屋な天井を眺める。




