序章 オーナー
あの頃の私は、よく頑張ったと思う。
よく耐えたと思う。
そして、よく逃げたと思う。
私は中学受験をして、私立の中学に入学した。けれど、私は英語が全くできなくて、中1の初めからテストは30点。期末テストも30点。この成績に激怒した両親から、夏休み毎日十時間勉強という、スパルタ教育を受けさせられ、精神的に脅された。私は二学期以降、成績をグンとあげ、どの科目も90点以上の点数を毎回取れるようになった。しかし、それはいつも両親に脅されていると思って毎日勉強第一の生活を送っていたからで、両親に怒られないための努力で、自分のための努力ではなかったから、日々が苦痛以外の何物でもなかった。
私は、どうにかこの世界で楽しく生きようと考えた。けれど、両親は勝手に、附属高校の国公立大学の入学を目指すスパルタコースへの進学を決めてしまった。
怖くなった。
その世界は、私の楽しい世界じゃない。
そう思った。
だから、高校の入学式の前日に家出した。
途中で、私の家出を助けてくれるという人に会った。
その人は私にメモを渡してどこかに行ってしまった。
私はメモの場所に行った。
メモの場所は、海のすぐ隣の、森の中だった。
ドアにこう、メモが貼られていた。
『建物の中にロボットがいる。好きに使うといい。君らしく生きなさい。』
私は、そのお言葉に甘えて、そこで、ロボットの少女メリーと一緒に生活することになった。
ただ、生活するだけでは、助けてくれた人に申し訳なく感じた。そこで、メリーと相談して秘密のお店を開くことにした。お店の名前は『困っていたり悩んでいる子を、少しでも優しく照らすことができたら』という願いを込めて『Sun』にした。しかし、私もここにいることはホントは良くないことで、警察にでも見つかったら助けてくれた人にも迷惑をかけてしまう。だから、秘密のお店なのだ。機械に詳しいメリーに協力してもらって、『秘密』ができるようになった。
私のような悩んでいる子供を助けられたら・・・・・・
その願いだけを持って、今日もお店を開く