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うばっつ!〜ある中年ウーバー配達員の物語〜  作者: カトーSOS


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20/22

それ、セガサターンですよねっつ!

ある日、ちょっとした用事があって、

 娘と一緒に、その恋人が家に来ることになった。


 家に上がるなり、

 恋人はきょろきょろと部屋を見回した。


 まあ、そうなるよな。

 俺の部屋は、

 人様に見せる前提で作られていない。


 段ボール。

 本棚。

 アニメのBD。

 そして、テレビ台の下。


 

 「……これ、セガサターンじゃないですか?」


 

 一瞬、何を言われたのかわからなかった。

 いや、わかったけど、

 わかりたくなかった。


 

 「……おお。よく分かったな」


 

 恋人は少し目を輝かせた。


 

 「実物、初めて見ました」

 「本体、グレーですよね」

 「パワーメモリーも刺さってる」


 

 娘は、会話についていけず、

 二人を交互に見ている。


 

 「え、なにそれ?」

 

 「セガサターン」

 

 「なにそれ?」


 

 恋人と、

 俺の目が合った。


 

 この瞬間、

 確実に何かが通じた。


 

 「ああ……」

 「そうだな……」


 

 説明は、しない。

 する必要もない。


 

 恋人はさらに続ける。


 

 「バーチャファイター、やってました?」

 

 「やってた」

 

 「やっぱり……」


 

 この青年、

 ただ者じゃない。


 

 娘は完全に置いてけぼりだ。


 

 「お父さん、なに?」

 

 「これはな、人生だ」


 

 自分で言っておいて、

 何を言ってるんだと思った。


 

 恋人は、

 そっと本体から手を離した。


 

 「大事にされてますね」


 

 その一言で、

 俺はこの青年を

 完全に信用した。


 

 娘は呆れた顔で、

 「もういいから用事済ませよ」と言った。


 

 帰り際、

 恋人は玄関で靴を履きながら、

 少し照れたように言った。


 

 「……あの、

  すごく、いいお父さんですね」


 

 俺は、

 曖昧に笑ってごまかした。


 

 ドアが閉まってから、

 しばらくその場に立っていた。


 

 セガサターンが、

 まだそこにある。


 

 それだけで、

 今日はもう、

 十分だった。


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