配達員の俺っつ!Re:日常クエストを走る中年の背中
私:48歳。バツイチ。ウーバー配達員
主な移動手段:原付(レッツ4黒)
特技:ざる蕎麦の温度管理
好きな時間:オフラインでアニメを観てるとき
朝8時。アプリ起動。
画面には「オンライン」の文字。
バイクのエンジンをかける。
今日も一日が始まる。
出発前、自撮りチェック。
もう慣れたもんだ。
ヘルメットも、ウバッグも、**俺の“仕事の顔”**になった。
出発ボタンを押せば、
あとはご飯を届けるだけ。
渋滞、信号、ちょっと雨。
でも耳には骨伝導イヤホンから流れるオーディブル。
今のお気に入りは『本好きの下剋上』。
ローゼマインが活版印刷機を作ってるのを聴きながら、
こっちはマックのセットを背負って走ってる。
同じだ。
好きなもののために働いてる。
注文が入れば、
ピックして、走って、届けて、完了ボタン。
「配達完了!」とアプリが光れば、
俺の財布もちょっとだけ明るくなる。
報酬は地味だ。
1件300〜400円。
でも数をこなせば、ちゃんと形になる。
そしてたまに、
「今週50件達成で+20000円!」みたいなボーナスクエストがある。
「なんだよ、RPGかよ」
なんて笑いながら、バイクを走らせるのが、嫌いじゃない。
ガソリン代? 1日500円ちょっと。
修理? タイヤとブレーキパッドで1万くらい。
税金?……うん、まぁそれは考えたくない。
でも、それ以外は、
ほとんどお金がかからない。
物欲?
ない。
今欲しいのは、スマホの充電器だけ。
ウーバー配達員をやってると、
「世間から外れた人生」みたいに見られることもある。
でも、俺は思う。
「世間の中心って、どこにあるの?」
アニメを観て、
ちょっとゲームして、
仕事して、たまに娘と焼肉して。
これが、俺の今の“日常”。
誰にも怒られず、誰にも媚びず、
好きなことをして、生きている。
「このままでいいのか?」って、
たまに不安になることもある。
でも、配達先で「ありがとう」って言われたり、
夜に飲む麦茶がやけに美味かったりすると、思う。
「……まぁ、アリじゃない?」
今日も信号待ちの間に、空を見上げる。
真っ青だ。
汗だくのウバッグが、背中に貼りついてる。
でもなんだか、
風は気持ちいい。
うばっつ! 1st Season 完