離婚したっつ!Reboot
私:48歳(元・社畜/現・自由人)
元妻:46歳(大学の元後輩/もう他人)
娘:22歳(社会人/たまにLINEくる)
「ねぇ、離婚してくれない?」
――晩飯のスープを鼻から噴いた。
その日、俺はクノールのコーンポタージュを飲んでいた。
しかも、とろみMAXのやつ。悲劇だ。鼻腔が潰れるかと思った。
「…は?」
ティッシュで顔を拭きながら聞き返す俺に、
妻は何の感情もない声で言った。
「もう限界なのよ。あなたといるの。」
そうか、限界だったか。
でも正直、こっちはそこまで不満なかったんだけどな。
25年も連れ添えば、そりゃ会話も減るし、スキンシップも絶滅する。
でも、それって"空気のような夫婦"ってやつじゃなかったのか?
空気だったのは、たぶん俺の存在だけだったらしい。
調停はスムーズだった。
家庭裁判所の別室に座りながら、俺は静かに考えていた。
「これって…勝ちなのか?負けなのか?」
預貯金は2,000万円。ローンも完済済み。
財産分与は半々。家は俺の名義だったけど、妻に言った。
「住みたきゃ住めよ。家あげるよ。」
すると、妻は静かに答えた。
「あなたのニオイが染みついてるから、無理。」
あまりの潔さに、逆に笑えてきた。
いや、マジで俺、そんなクサかった?
離婚届に署名して、印鑑押して、手渡す。
それで終了。夫婦25年のエンディングは、こんな一枚の紙で終わるらしい。
裁判所の駐車場で、元妻の車が小さくなっていくのを見送った。
そのとき――
「あれ、俺、めっちゃ気楽になってね?」
心のどこかが解き放たれた。
肩の荷が下りたどころじゃない。羽が生えたような気分だった。
「私はこれから一人だ。」
そう呟いて見上げた空は、やたら広くて、眩しくて。
まるで人生が“はじまった”感じだった。
ゲームして寝てアニメ観て、
気づけば昼過ぎ──
退職金を手に入れた48歳、
新章スタートっつ!