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おしゃべり銀行5

作者: すすめのおやど

東京都江東区住吉駅そばにある「トークバンク」という喫茶店。ここにはいつも悩めるお客さんが訪れママに話を聞いてもらっている。


    千代まま編part4



千代ままはベンチから売店に向かい、千代のおやつのスニッカーズと、ブラックの、蓋の出来るタイプの缶コーヒー2本買って病室に戻ってきた。看護師の林さんが出て行ったので慌てて、

「何かあったの?」

と聞くと

「なんもないよ。林さんに、咳でるからあんまはしゃぐな!…って言われたの。林さんの言うことはちゃんとききます。」

と言った。

林さんとは、千代が夜中に眠れない…とナースコールしたら

「そんなことでナースコールしないように」

と言われ、千代がぶちキレて、朝まで泣いていて千代ままが来るまで、いじけていたことがあった。千代は

「おかあちゃんがいればそれでいいんだ。誰とも話さないし、おかあちゃんさえいればそれでいい。」

と千代ままにしがみつき困っていると、林さんがきて

「千代さんの気持ち解ってあげられなくて、看護師として失格でした。」

と謝ってくれた。千代も

「眠れないってことは先生に相談するべきでした。」

と林さんに謝り、それ以来我儘な千代のことが苦手だろうによく面倒みてくれる看護師さんだ。


千代ままはおやつの袋にスニッカーズを入れ、アイスコーヒーを冷蔵庫にしまうと、椅子に座り千代を抱き寄せ

「大事な千代ちゃんのお咳の具合、早くよくなれ。早くよくなれ。」

と言いながら千代の背中を何度も何度もさすった。30歳の大人の身体は重たいが、これが30年の命の重さなんだなと千代ままは思った。千代が、

「ねぇ、おかあちゃん、生まれ変わっても、生まれ変わっても、親子になろうね。」

と言った。千代ままは何て答えたらいいか言葉が見つからなくて、ただただ、千代の背中をさすっていたら、

「約束だよ。」

と千代が言った。千代ままも

「うん、やくそく。」

と言った。


そんなある日、浅井先生が1本の点滴を持ってきて、

「特効薬持ってきました。」

と言うと手際よく準備をした。

「うさぎさんをね、たくさん使った薬なんだよ。」

「かわいそう…」

と言うと

「千代さんが元気になればうさぎさんもうかばれます」

と答えた。本当にたくさんの命の上に千代は生きてる。千代が毎日のようにやる輸血もたくさんの方のご好意でありがたく今日も生きてる。このうさぎさんの点滴を「うさうさ」と呼んだ。

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