表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/24

プロローグ


 ブレーキ音が鳴り響き、直後に鈍い衝突音がした。


 振り向くと、そこでは首輪の付いていない三毛猫が横たわっていた。小さな身体から血液が流れ出し、ちっぽけな血溜まりが出来上がっていく。ぶつかった乗用車は一度止まってから、すぐに加速して行ってしまった。


 よくある動物の轢き逃げだった。


 この辺りには野良猫に餌付けをしている人が多いからか、こんな事故が頻発している。ただ、目の前でそういう事故を目にするのは初めてのことで、僕はつい猫から目を逸らしてしまった。


 視界に入れておいて気持ちのいいものじゃない。


 ため息を吐いて、すぐにいま見たものを忘れることにした。


 しかし、再び歩き出そうとしたとき、僕の背後から誰かが駆け出した。風を切る音に釣られて、もう一度振り返る。それは一人の女の子だった。


 彼女は長い黒髪を靡かせて、三毛猫の元に駆け寄る。車通りは少なかった。彼女は素手のまま手早く猫を拾い上げると、ブレザーの制服を黒く染めて歩道へと戻った。そして辺りを見回して、すぐ近くに公園を見つけるとほっとしたような表情をして、猫を抱えて歩いていった。


「……」


 信じられないものを見たと思った。


 一瞬の出来事だったのに、彼女の一挙手一投足が脳裏に焼き付いている。


 きっと、僕はそのとき彼女に一目惚れしたのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ