第84話:コールドタウン窓咲
ヒュォォォォォォォォォォォォォォォォォッ。
【窓咲市、防災センターよりお知らせします。現在、水町地区を中心に気温が急激に低下しており、氷点下となっています。急ぎの用事がない方は、水町地区に近付かないようお願いします。繰り返します。現在、・・・】
「ねえ゛、鏡子・・・」
「なに」
「100メートルで、脱出、できるの・・・?」
無理に決まってんだろ。私らの1ヶ所だけならともかく、目に映る範囲でも5ヶ所、聞こえてきた音に至っては10回以上だ。
「待づしか、ないわね゛・・・」
「ふざげ、ないで・・・」
ふざけてなんかないさ。
「効果は、たぶん゛、30分がそこらよ・・・仮に1ギロ歩げば助かるとじで、ごのコンディションで歩げると思う・・・?」
「なんとか、じなざいよ゛・・・」
「頼むよ厳木ざん、ごのままじゃ俺だぢ凍え死んじゃうよ゛・・・」
「そうは言っでもねえ゛・・・」
真夏なんだ。暑さ対策グッズは持ち合わせていても、寒さ対策グッズなんて毎日持ち歩かない。あるとするならば・・・。
「これだけ、か・・・」
「なんのぐずりなのよ゛、ぞれ・・・」
「激辛玉。・・・食べる・・・?」
「食べないわよ! なんでそんなものしかないのよ! あーさぶい!」
「夏だからに決まっでんでじょ」
「なんでなづに激辛玉なんで持っでるのよ゛!」
そりゃ制裁用さ。しかし、こんなことになるんなら、体中を巡る血が39℃になる“39℃玉”を作ることにするか。39℃だとそれも制裁用になっちまうが。
「激辛か・・・もらうぜ」
「は・・・?」
マジで? 男子の1人が、自ら激辛玉を食そうと志願してきた。辛いもの食べてあったまろうって算段だろうけど、どうなっても知らんぞ・・・?
「はい」
「おう゛、さんぎゅ・・・」
パクッ。マジで食った。で、
「!!!?!???!?」
一瞬で顔が歪んだ。
「おぉぉがぁぁぁぁぁぁあああああ!! がぁぁれ゛え゛え゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!! いぃででででででででででででしかもさぁみみみみみびびびびびびびびばびぶびべぶぼびばっばっばっ、・・・ばはァxyツ!」
ガクッ。
「おい!! しっかりしろ! 寝たら死ぬぞ!」
「てかもう死ん…べぇっくしょい!」
「どにがぐ家んなが入ろうぜ。みんなでぞいづ運ぶぞ・・・」
で、屋上バーベキューエリアから屋内へ移動。ていうか私ら、バーベキューしてたんだったな。もう遠い昔のように思えてきた。
で、屋内に避難してきたのも束の間。
「なんで、ざむいのよ゛・・・」
相変わらずみんなしてガクガク震えていた。
「当然、でしょ・・・誰が作ったど、思ってるのよ・・・そもぞも屋上のドア開いてたじ、閉まってたとしで隙間からバンバン入ってぐに決まってるでじょ・・・超圧縮しでだんだがら・・・」
「よげいなごどばっがり・・・」
何が余計なことだ。4人家族が毎日使っても1本で3ヶ月持つように、缶の中では液体になるほど圧縮してたんだぞ。
考えてもみてくれよ、3ヶ月ものあいだ暑さを凌げるんだぞ? ちょっとのやらかしで極寒に見舞われるがそれも30分程度だ。安いもんだろう?
「てが厳木さん、マジでなんもないの・・・?」
「手当たり次第出してみるしがないわね・・・」
とにかく手当たり次第、ボワワンカプセルに入れてる分も出すことにした。あれもダメ、これもダメ、こういう時に限ってガラクタばかりが出てくる。
「なんにつがうのよ、ごんなの゛・・・」
ターボエンジン付きのキックボード、手を塞がずにドローン映像を見られるメガネ、イヤリング型麻酔銃などを見つめながら鈴乃が言う。東京で女子高生やってれば、それらを使う時も来るのさ。おっと、16歳にゃ分からないか、失敬。
とにかく今はこの寒さを何とかせねば。
「あっ」
こ、これは・・・!
「なにが、あっだの・・・?」
「地下に、避難しましょうか」
「ぢか?」
「この、さぶうぇいめーかーでね」
「きょ、うこ、それ・・・」
説明しよう! サブウェイメーカーとは、地面を掘って地下鉄のようなトンネルを作ることができるのだ! もちろんレール付き! そして私ってば燃料電池式のトロッコも作ってるから1キロなんてアッという間にサヨーナラ! すごいだろぉ。
なのに、
「嫌よ」
鈴乃はツレない。前使った時に池にダイブしたのを引きずってるようだ。どうやったら地下鉄が池にダイブするかって? このサブウェイメーカーは上り坂も作れる。燃料として積む圧縮水素は火気で爆発する。私お手製のトロッコには任意で水素を漏えいさせられる機構がある。以上。
「じゃあ鈴乃だけここにいれば。さよーなら」
「・・・いぐに決まっでるでしょ」
来るんかい。
「えっと、地下に何も無さそうな場所は、っと」
1階から外に出て、地下に降りられる場所を探す。こんな極寒で水道管破裂なんて絶対にやりたくないからな。絶対にやりたくないからな。
「ここね」
いい場所を見つけたので、そこでサブウェイメーカーを真下に向けて、引き金を引いた。
ドドドドドドドド・・・。
真下に向かって穴が掘られていく。サブウェイメーカーの機能でレールまで付くのだが、残念ながらハシゴ代わりにはならない。
「どうやって降りるんだ・・・?」
男子の1人が呟くのも無理はない。だが、この私に抜かりなどない。
「みにばるーーん!」
寒さを紛らわすためにテンション上げて言ったのだが、哀しいかな、みんなノーリアクションだった。
「これでゆっくり降下して、着地したら手放せばこれだけ上に上がってくからキャッチして使い回すわよ」
「ていうかそれで飛んで移動できないの?」
甘いよ鈴乃ちゃん。
「5個しかないのよ。半分の人は置いてけぼりね」
耐荷重は80キロなので1つに2人がぶら下がることもできない。
「不測の事態への備えが足りないんじゃない?」
甘いのは私だったか。おかしいな・・・。
「とにかく、まず私がやってみるから見てて」
と言っても大したことはない。取っ手を握る強さで浮力が調整されるから、それでゆっくり降下すればいい。
シュポッ。
まずは点火。冷却スプレーは既にさっきの爆発で膨張しきってるし、5分は経ってて霧散が始まってるからもう火気は平気だ。
「よっと」
そして穴に飛び込んで、ミニバルーンの浮力を調整しゆっくり降りていく。さすがの冷却スプレーの爆発も、地面の中にまでは行き渡らない。下に進むに従って暖かくなってきた。
「いきかえるぅ~~」
我ながら、情けない声である。これが上まで聞こえたのか、鈴乃が「早くじで~~」と言うのが聞こえてきた。
穴は15メートルぐらいまで掘った。ライトを取り出して下を照らすと、底が見える。やがて着地。
「離すわよー!」
「はーーい!」
ミニバルーンを離して上に飛ばす。あれだけ人数がいれば誰かしらがつかめるだろう。さて、ここが狭い。サブウェイメーカーをプラットホームモードにして広げよう。ボンッ。はい拡張。あとはみんなを待ちますかね。
その後、鈴乃、仙崎&ワトソン、男子が1人、また1人と降りてきた。そして次を待つのだが。
「次は2人で行くわー!」
だそうだ。確かに、降下するだけなら定量オーバーでも問題ない。待つ側にとっても1人ずつは億劫だったから丁度いい。
「おっ? これかなり早く降りれてるくね?」
「みんながどうだったかが分からんだろ」
みんなの降下スピードを横から見た訳でも、タイムを計った訳でもないからな。
「じゃあさ、1回火ぃ消してギリギリでまた点けてブレーキとかやろうぜ?」
「はぁ?」
何が“じゃあ”なのかは知らないけど、どうぞご自由に。
「よし消すぞ!」
「おいやめろ! これ厳木が作ったやつだぞ!」
どういう意味だてめー。
「リスクは負わないに越したことないだろ!」
可愛い可愛い後輩をもっと信用してくれませんかね。まぁ、重量オーバーで使ってる時点で身の安全は保障しないし、重量守っても保障しないけどな。
「そらっ!」
「バカ消すな! わぁぁぁぁぁぁっ!」
「うっひょーーーい!」
どうやら消してしまったようで、2人の声が聞こえる。下からだと見上げると遠くに地上への穴があるが、2人の影はまだ点だ。どのくらいの高さにいるだろうか。トータル15メートルで、既に半分進んでたとしても7メートル半だから、ミニバルーンを再点火しないとタダじゃ済まないぜぇ?
「おい! 早く点けろ!」
「まだ行けるって!」
遊ぶのはいいけど、もしものことがあっても助けてやんねーぞー。
「せめて明かりぐらい用意したら?」
鈴乃は優しいねえ。
「はいよ」
ポンッと電気ランタンを取り出した。見た目だけがランタンのライトだ。これで上の2人が着地までの距離を見積りやすくなっただろう。
「ほら、まだある!」
「いいから点けろ! 俺は自由落下反対派なんだよ!」
自由落下に賛成派も反対派もあるのか?
「大丈夫だって! これ自由落下じゃなくて強制落下だから!」
「ホント俺は強制的に落とされてるからな!? さっさと点けろ!」
わーわー、わーわー。2人は相変わらず色々と言い続け、ついにはワチャワチャと手も動くようになった。そして、
「「あ」」
「ん?」
なんだ?
「何か落ちて来ますね」
仙崎が言った。確かになんか落ちて来てんな。どっちかがポケットに入れてたものか? って、おい!
冷却スプレーだ! あれを地面に衝突させてなるものか! 私はあれをキャッチするべくアームを伸ばした。しかし、
「なんか落ちて来てんのか? 的当てタ~~イム。よっ!」
「ちょっと待ち…」
待ちなさい、と叫ぼうとした時にはもう遅かった。男子の1人が、落ちて来る冷却スプレー缶目掛けて何かを投げた。あれは石か。私が伸ばしたアームは、キャッチさえできれば良いからと低空飛行なので、男子が投げた石より下を這っている。あと単純に、石の方がスピードが速い。あとは空振りを祈るだけだが、
カァァン!!
プシューーーーーーーー。
「えぇっ!?」
クリーンヒット。そして見事に内容物も飛び出した。
「ちょぉっ、えっ、えぇっ!!?」
慌てる鈴乃。
「落ち着きなさいよ。レバー引き続けてずっと出てるのと同じってだけだから」
「でも、でも・・・!」
「こんままじゃここも寒くなるんじゃねーの!?」
ダメだ。さっきの極寒体験のせいでみんな冷却スプレーを恐怖の対象として見ている。酸素と反応して周りから熱を奪う代物だが、この地下空間自体を広くすれば霧散して問題なくなる。解は決まってるんだからさっさとや…
「いい加減ブレーキかけなきゃ死ぬって!」
落下組!? もうすぐそこに!?
「ちょっと待っ…」
私には、分かっていた。ミニバルーンの点火なんてワンタッチで出来ることを。安全のために、慌ててても間違えようのないほど簡単に点火できることを。そう、全ては安全のために設計したものだった。安全のために・・・。
カチッ。
ボォォォォォォォォォォォン!!
この狭い空間で、私たちは“周囲から熱を奪うガス”を全身に浴びた。
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「う、う゛・・・」
ブルルルッ。
「ぶ・・・!」
さむ・・・!? えっと・・・私寝てた・・・!? いや、違う、そうだ・・・気を失ってたのか・・・。思い出したぞ・・・バカが落とした冷却スプレーに、バカが石をぶつけて中身を漏らさせて、更にバカが火を点けてドカンといったんだ。氷水に飛び込んだどころではない衝撃を受けただろうから、気絶ぐらいして然るべきだな。
「み゛、あ゛・・・」
ダメだ。まともに口が動かない。立ち上がることもできない。それでも何とか、体と首をよじることはできて、みんなの姿を確認できた。意識のある人はいなかったが。
どうするよ、これ・・・。いかん、事態を吞み込んだら意識が朦朧としてきたぞ・・・待て寝たら死ぬ! 助けを・・・! わとそん、も一緒だったな・・・案の定オネンネしてる。せる、しうすに・・・。
「ここです! この下です!」
「ん・・・?」
声・・・? 上から、聞こえてきた。そうだ、寒さから逃れるために地下に潜ったんだ。順番に降りてる最中にさっきの悲劇が起きたから、まだ上に残ってた男子がいる。助けを、呼んでくれたみたいだ・・・。
「じか、ん・・・」
地下に潜ってからも30分は経っている。もう地上はそれなりの気温に戻ってることだろう。ここは狭い空間でスプレー暴発したからまだ冷凍庫みたいな寒さだが。
「大丈夫ですかー!」
シュルルルルルッ。紐ハシゴが降りてきた。天の助け・・・! 実際に、1人、また1人と地上へと続く細長い穴から救急隊が降りて来た。私たちは、助かったんだ・・・。
「おい君!」
がしっと救急隊に両肩を押さえられると、もう体に力が入らなくなった。
「しっかりしてください! ひどく体温が下がってる・・・」
ははは・・・こりゃ病院送りかな。
「他にも人が倒れてます! 大丈夫ですか! 大丈夫ですか! 大丈夫ですかー!! 1、2、・・・普段通りの呼吸あり!」
「こちらも大丈夫です!」
気絶前に私が置いてた電気ランタンのお陰で、視界に入ってる分はよく見える。救急隊員たちが、倒れてるみんなに声をかけては男女問わずお姫様だっこで抱え上げていく。
「犬の方も無事です!」
ワトソンも無事だったか。しかし、2人して同じ場所にいると有事の際に共倒れになっちまうな・・・リスク分散の策を考えねば。
「今引き上げますからね! しっかり掴まっててください!」
「はい・・・」
これで助かる。そう考えると、自然と力が入った。それでも隊員に支えられてる力で保ってる分が大半っぽかったが。
隊員たちが使った縄ハシゴとは別に、引き上げ用と思われるロープが垂れてきた。先に縄ハシゴ隊員たちを送り込んで、今しがた準備ができたってところか。いずれにせよ、助かる・・・。
ウイーーーーーーーーーーン。という音はしないが、クレーンゲームに近い感覚で引き上げられていく。マジで今の私は、ヌイグルミみたいにだら~んとしてるだろうな。ああ、人形になりてぇ。いや、あのまま氷漬けは御免だったかな・・・。
やがて、体が日の光を浴びる場所に出た。あぁ、あったけぇ。夏の気温とまではいかないが、もうすっかり20℃は超えてそうだった。あ、20℃って夏日か。
「「「おおぉ・・・っ!」」」
「あの子は・・・」
なんか、人が多いな。てか人だかりになってる。なんで? すげえ騒ぎになってたみたいだ。
「やっぱりさっきの寒波もあいつが原因?」
「スプレー缶が破裂したって話だけど?」
「そのスプレー缶を作ったのがあの女子高生なんだよ。俺買ったもん」
これ見よがしに色々言われてるな・・・。火気厳禁ってしっかり表示されてる用法を守らなかったのが悪いのであり・・・。
「酷い有り様だな、厳木」
君津・・・。
「そこまで弱ってたんじゃ怒る気にもなれん。頭が冷えてるうちに頭を冷やしておくんだな」
いま私の脳が欲しているのは熱なんだよ・・・もっと熱くなりたいんだよ・・・。
ロープから降りた隊員はそのまま私をストレッチャーに乗せた。
「高校生の男女7名と犬1頭! 意識があるのは1名ながら全員正常な呼吸あり! 低体温症による衰弱のため救急搬送します!」
ガラガラガラガラ・・・。ストレッチャーが動き出し、そのまま救急車へ向かう。君津が着いて来た。
「24時間以内に反省文を書くこと。いいな」
鬼か・・・!
それだけ言って君津は救急車には乗らずに立ち止まり、他の隊員のもとに向かった。
「生徒たちは大丈夫ですか」
「はい。まだ若いですし、体を暖かくして休んでいれば回復するでしょう」
「すみません、うちのバカが・・・」
そこから先の会話は、ドアが閉まったために聞こえなかった。ほどなくして、体があったまってきたことと安心感からか、私の意識は眠りに落ちた。
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【昨日、東京都窓咲市にて、一時的かつ局所的に気温が氷点下となり、住民が寒さに震えるなど、騒然となりました。原因は高校生発明少女が作った冷却スプレーとみられ、カイロと逆の原理で熱を奪うとされていますが、火気に触れた途端爆発するように冷気に包まれたという話です。
窓咲市では現在、この冷却スプレーを回収するとともに、住民へ注意を呼び掛けています。その発明少女は、人工的に開けたとみられる深さ15メートルほどの穴の底で、他の高校生ら6人と一緒に倒れていたとのことで、体力の回復を待ってから詳しい話を伺う方針です】
病院の一室で見るテレビで、アナウンサーが淡々と告げていた。当事者としては散々な目に遭った記憶なのだが、第三者にとってはそんなものなのだろう。一応、インタビューを受けている市民の声とジェスチャーは大きく、冷気の湯気があちこちから立ち込めている視聴者提供の映像も流れているが、どこまで伝わるものか。
というか、私、聞かれちゃうの? “詳しい話”・・・。
「今のうちに台本を用意しておけば?」
鈴乃だ。この部屋には私と鈴乃と仙崎、として隣の部屋には男子3人が運び込まれている。ワトソンはペットショップ兼動物病院の“AS”だ。
「そうしたいのは山々だけど、先に学校の反省文の締切が来るのよね」
昨日救助された時点から24時間以内だったもんなぁ。で、21時間は寝ちゃってたもんなぁ。警察ですら回復を待ってくれるのに、君津ときたら。
「どんな徳を積めば、教員が警察官よりも厳しく当たるようになるんですか?」
仙崎って、時々皮肉っぽく刺してくるよな。
「まぁちょっと、5万とか10万で折れるような相手じゃないのよね」
「どうして“徳を積む”と言われてお金を積むことを連想するんですか・・・」
民間人が公務員に誠意を示す方法は1つしかないだろ?
コンコン。
「はーーい」
看護師か。ドア開いてんのにわざわざノックするとは律儀な。
「厳木鏡子さんに、お手紙です」
「手紙?」
誰だ? 封筒に差出人は書かれておらず、消印も切手もない。郵便局を通して配達されたものじゃなさそうだから、手持ちか。顔も出さずに帰るとは、色々と対応に追われてる君津か?
「何なの?」
「開けてみるしかないわね」
ペーパーナイフで封を切ると、中には3つ折りのA4用紙が入っていた。
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通 告
2年A組 厳木 鏡子
以上の者を、9月1日から1週間までの間
停学処分とする。
東京都立窓咲高等学校校長 野田 征次
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「・・・・・・」
「・・・えっと、何だったの・・・?」
せめて、“詳しい話”ってやつを先にさせてもらえないのか?
次回:ドキッ! 着ぐるみだらけの水泳大会! 首ポロリもあるよ




