不慮の事故
初めての小説です!よかったら読んでいってください♪
のんびりになってしまうかもしれませんが、頑張って投稿したいと思います!
なんてきれいな顔なんだろう。まるでおとぎ話に出てくるお姫様みたいだ――。
病院のベッドで身体中に包帯を巻かれ、無数に管を刺されて横たわる、この痛々しい姿の彼女を眺めながら暢気にそんなことを思ってしまえるほど俺は精神的にやられていた。だって信じられるか?
「もう、柊ちゃんってば! いい加減起きてよ。学校遅刻しちゃう」
そう言って今朝、勝手に家に上がり込んできて寝ている俺に強烈なキックをかましてきた美百合が、あの風邪すら引かない元気な美百合が……まさか危篤状態だなんて。
俺、成瀬柊と綾野美百合は家が隣同士で歳も同じ17歳。絵に描いたような幼馴染ってわけだ。俺達は物心ついたときにはいつも一緒にいた。幼稚園から高校まで同じだ。傍から見れば兄妹と思われてもおかしくないだろう。
医師によると、彼女がもう一度目を覚ます確率は限りなくゼロに近いらしい。
悲しいとか辛いとかそういう気持ちを通り越してただただ虚しかった。
俺にとって美百合はなんていうか空気みたいな存在で、隣にいるのが当たり前だった。
そんな当たり前の日常が一瞬でなくなってしまうなんて、人生とは本当に何が起こるか分からないものだとこの期に及んでつくづく実感した。
しばらく呆然と立ち尽くしていた俺は、取り合えずベッドの傍らにあったパイプ椅子に腰を下ろした。
消毒液の匂いがする病室は静かだ。いつか美百合が『お昼寝タイム』と称していた吉田先生の英語の授業を思い出す。
唐突に睡魔が襲ってきた。
そういえばテスト勉強で寝不足だった上に、この美百合の事故も重なって俺は心身ともに力尽きていた。
ゆっくり重い瞼を閉じてまどろむ。
ああ、こんな緊急事態なのに心地いい。なんて不謹慎なんだ、俺は。
ふと、誰かの声がする――。
「――です……か?」
「――大丈夫……ですか!?」