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夫婦喧嘩で最強モード  作者: 長谷川凸蔵
第1章・帝都編
35/63

夫婦喧嘩

事件の経過及び影響について


 当日は各自疲労が激しく、帝都到着後すぐに解散。1日の休息を挟み翌日、事件の概要を一部伏せて治安維持隊へと報告。被害者及び被疑者死亡にて本事件は皇女権限をもって捜査終了。


 闘神発生については、住民の不安およびリックの高密言語についての情報漏洩を危惧し、隠蔽。事件は闘神信仰者の暴走として処理。


回帰主義。


 現在および過去の文献等調査するも存在及び目的は不明。『海』への帰還が目的との事だったが手段等不明。今後、継続的な調査要。


闘神。


 なぜ祈りによって肉片が活性化し、発生したのか、不明。今後、継続的な調査要。


副作用。


 リックはしばらく、吐き気や目眩、また通常の認知、解析力の低下に悩まされたようだ。度のあっていない『眼鏡』をかけたせいだとは本人談。

 本調子を取り戻すのに2ヶ月目を要した。運用には細心の注意が必要。

『眼鏡』は今後とも調整するとのこと。


 ※備考※能力低下に伴う彼の仲裁能力の低下によって、ネイト邸の一部消失。


イーロン家。


 今回の件は闘神信仰者の暴走として処理したため、キャレイブ殿及びイーロン家には一定の批判が集まったようだが、闘神信仰者との戦闘においてカルミック殿の活躍を考慮し、本人及びイーロン家には罰則なしを要請し、受理される。戦いによって覚醒したカルミック殿の今後に期待する。


 ※備考※私と同じく、『眼鏡』を掛けた瞬間、卒倒。3人目の友人と認定。


高密言語の紋様化


 理論、概要を聞くも、理解、および再現不可。リックの専門の能力と認定。

交渉により、彼から……



 そこまで読み直してから、ミルアージャはふと思い出し「ミルアー団活動報告書」と書かれたノートを閉じる。

そして……


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「……リッくん、あのさ」


「……うん、わかってる」


 大学の食堂で、リックとカスガ、そしてフランが食事中、リックとカスガが目を合わせる。


「リッくんが『笛』あげちゃうからだよ。だからしょっちゅうこうやってピーピーピーピー集合掛けるのよ」


「しょうがないだろ……大体カスガのせいでバレたんじゃないか。そしたら欲しがるに決まってるだろ」


「リッくん酷い、まるで私のせいみたいに言った」


「そう言ったんだよ!?」


「そうだとしても、そう言わないのが、紳士でしょ?」


「紳士都合のいい男過ぎだよ!」


 同席しているのに完全に蚊帳の外にされながら、フランはマイペースに魚卵ベースのソースを絡めたパスタを口に運ぶ。

 多少付き合いが長くなってきたフランは、二人との付き合い方を把握して来ていた。


 フランがいても、二人は二人の世界の言葉だけで突然やり取りを始め、そこに介入する余地などない。


 つまり二人がこうなったら、ほっとけばいい。


 二人は分野は違うが、要はライバルなのだ。片や魔術の天才、片や神学術の天才と言われるが、片方しかいなかったらここまでの存在になっていないんだろうな、少なくともフランはそう思う。


 こうやって二人で話しながら、表面上は衝突しながらもお互いを深く信頼し、お互いを高めあっている。


 そう、二人はお互いの存在があるからこそ、その能力があるのだ。


 二人はお互いの存在で、どんどん成長する。


 まるで、夫婦喧嘩のようなやり取りをしながら。


(でも、それはそれとして、食事は落ち着いて摂りたいわ)


 まぁ、無理か。犬も食わないなら落ち着いても何も無いわ、そう思いながらフランはパスタを飲み込んだ。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「今日お集まり頂いたのは、重要な用件よ」


 ネイトの屋敷の応接室に、ミルアージャの要請によってリック、カスガ、カルミックが集まっている。


 ミルアージャが集合を掛けたときに、学校から一番近いネイト邸に集まるというのは、最早恒例になっていた。


 ミルアージャは最近、敬語と普通の言葉が混ざった話し方をする。本人は普通に話したいのだろうが、長い習慣で身に付いたため、なかなか抜けないのだろうとリックは推測する。


 ミルアージャの宣言に、カルミックがおずおずと手を上げながら言う。


「あのーなんで僕も? 相続関係でわりと忙しいんだけど……」


「うるさいですわ、なら暇になるようにイーロン家取り潰しちゃう?」


「過激!」


 ミルアージャは最近このような事を言う。あまりいいこととは思えないが、勿論リックはわざわざ言わない。


 カスガがカルミックにアドバイスする。


「カルミック、『諦める』と『全てを受け入れる』なら、『全てを受け入れる』を選択するのがオススメなの。理由? ちょっとだけ前向きに聞こえるでしょ?」


「諦めて、全てを受け入れるよ。それならプラマイゼロでフラットだね……」


 うんうんと頷くカスガと、うんうんと頷くミルアージャ。なんだか二人の仕草が似てきた気がする。


「じゃあ今回我々が解決すべき事件を発表しますわ!」


 そうやって嬉しそうに言うミルアージャと、楽しそうにしているカスガ、何だかんだ付き合ってくれるカルミックを見ながら……


 この時間が少しでも長く続くように自分ができることをしよう、勿論、自分も楽しみながら。


 リックは改めて決意した。


これで第1章は終わりです。完結っぽい雰囲気ですが、たぶんまだ続くと思います。サブタイトルは変更の可能性があります。


このような「なろう」の片隅で書かれてるような拙い話を、読んで頂いたすべての方、特にわざわざブックマークまでして頂いた方、ありがとうございました、お陰でここまでは書けました。


第2章はもう少し固まり次第始めようと思います。


もしよろしければ今後もよろしくお願いいたします。

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