盲目少女の過去
フェーナの本名フェーナ・アルバシア。
アルバシアはフェーナが働いてる店の主の性であり、フェーナの両親の物ではなくしかも記憶として残ってないからもはや知る由もない。
フェーナという目の見えない少女は生まれた時から盲目だった。
フェーナの両親がそれに気が付いたのはフェーナが3歳の時だ。
正直気が付くのが遅い。
だが、それだけにフェーナは優秀だったのだ。
目が見えない変わりに耳と鼻それと勘が良く、まるで見えてるかのような反応をしていた。
ただ、見えないが故に危ないものや生き物にも近づいてしまう事も多かった。
だがただ好奇心旺盛なのだろうと周囲の人は納得してしまっていた。
目が見えていないと判明した日の事はもはや悪夢と言ってもいいだろう。
フェーナにとっても両親にとっても・・・。
なにせ女といえどいずれは働き、あるいはいい所に嫁ぎ両親に対して利益をもたらさねばならない。
目が見えなければ働くのも難しく、目が見えないという欠点だけでも嫁ぎ先など見つかるはずもない。
父親「こんな子は俺の子ではない!」
母親「生まれつき目が見えてないなんて、きっと何かに呪われてるのよ!疫病神の子よ!」
父親からは罵倒そして暴力。
母親の言葉は理解出来なかったがまるで呪詛、話かけても無視され避けられた・・・。
愛されていたはずだった、今では罵倒と暴力そして呪詛。
大事に育てられていたはずだった、今までは寝る場所は冷たい床の上。
大好きだった母の料理のはずだった、今では量は少なく悪くなり始めた食べ物ばかりで鼻と舌を刺激した。
食べこぼしても拭いてくれる人なく叱られる。
体調を崩す事もよくあった。
近所の人に知れるのを嫌って外には出してもらえなくなった。
いや、監禁と言う方が近いかもしれない。
(ここは地獄。きっと私はすでに死じゃったんだ・・・)
幼いながらも幸せだった時と今の違いを考えそんな風に考えていた。
私は知らないうちに死んで地獄に落とされたのだと・・・。
泣いた。
涙が流れた。
そう神様が泣いた。
そして吠える。
「見てて辛いわ!!なんだこのドロドロ~んな記憶はっ!」
止まった時間の中で神様は今までで初めて恐怖した。
「この子っ、恐ろしい子っ!」
そして理解できた。
過去が辛い・・・。
いや過去が恐怖を詰め込んだジェットコースターなのは別として、フェーナの能力についてだ。
耳と鼻と勘の良さ・・・、いや頭の良さもあるか。
で部屋の中の状態を把握してるんだな。
部屋の中に閉じ込められてるうちに出来るようになった悲しいスキルだ。
人の位置まで正確に把握してるが、色や形まで把握してないから棒人間がうろついてるイメージ。
俺の場所が分からなかったのは、転んだことによって一瞬把握してたのが飛んでしまったため。
あと俺は人じゃなく神だから把握しにくいというのもありそうだ。
しかしどうする。一応疑問は解けた。が、コイツの過去はもう怖くてみれんぞ・・・
今のコイツは普通に大丈夫そうだしハッピーエンドに繋がってくるのだろうが、見るのが怖い。
気になる部分もあるのに見たくない複雑な気分だった。
「うがー!もうやめだやめ!どうせ全部世界ごと消すつもりだったし!深く関わらないでおこう、うん!」
この何千年かで、久しぶりに俺は正しい判断をしたような気がした。
何千年もあって久しぶりにって・・・!
「まるで、俺がバカみたいじゃないかーーーーーーーーい!」
いや、まぁ、分かってたけどね。
大事なのは、今ですよね。過去の思い出したくない事はお年寄りのじーさんばーさんになってから、笑い話にした方がいい。
なんとなくそう思った。