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5.全ての魔法を使う人


 「す、すごいです、タツヤさん」

 目をきらきらとさせて見つめたが、彼は満足した様子もなく難しい顔をしつつ庭を見つめた。

  

 「いや、まだだね。こんな草ばっかりでは虫もいっぱいわくだろうし、見場も悪い」


 といって、門を開く。


 その場で彼が大きな鎌を召喚する。

 片手で持ち上げたあと軽くふり感触を確認する。

 そして、それを草の生い茂るところへ向かって一気に刈り取り作業を行っていった。

 その素早さ、草のみをうまく刈り上げるやり方。

 舞でも舞っているかのように優美に、風のように行っていった。一歩ごとに何やら足先が光り、人なぎごとに腕が光る。

 そうして瞬く間に刈り取り作業を終わらせていき、散らばった草は何やら風に巻き上げられて家の周辺へと散っていき、そこには綺麗になった庭が広がるばかりであった。


 「え、英霊魔術まで・・・・」


 そんな様子を見てエウィルダはぽかんとなってしまった。

 はじめてあったときに巨大トカゲを退治したのも人並み外れた力だったわけで気が動転して気がつかなかったが考えてみればそれもまた英霊魔術を使ったからだろう。


 これで彼はこの世界にある四大魔術の全てを使えるというわけだ。




 病や怪我を治癒し、物の修復を可能とする『聖霊魔術』

 何かを自身の目の前に呼び出す事ができる『召喚魔術』

 自然界にある現象を自在に操る事ができる『精霊魔術』 

 自分や他人の身体能力や技術を強化できる『英霊魔術』




 この四つがこの世界に存在している魔法である。

 どれも使える存在はあまりいない。

 それもそうである。



 聖霊師であれば、医学や薬学がなくても医者以上の存在になれ、物が壊れても平気な存在。

 召喚師であれば、物を運んだり作り出す労苦をしなくてもいい。

 精霊師であれば、道具を使わなくてもあらゆる事象を起こすことができる。

 英霊師であれば、鍛錬をしなくても騎士や職人以上の仕事ができる。

 

 

 そんな一つ一つが冗談のような力を保有するものだ。

 一応、人の量としては


 召喚師>英霊師>精霊師>聖霊師


 といったところである。もっとも、その質もピンキリではあるがそんなところである。

 エウィルダは知識としてそれを持っている。だが、それを全て持っている人なんて聞いたこともない。

 極々稀に、二つの能力を保有する人もいるようだがそれこそ希である。

 しかし、目の前にはその全部を持っている人がいるわけで・・・・・



 「エウィルダさん。一応、これで全部ですし、荷物を中に入れてしまいましょう」


 その人がにこやかにその中性的な美貌を振りまきつつエウィルダに声をかけていた。


 「は、はい」

 タツヤが素早く荷物をふわりとあげて引き寄せその手元にもつと家の中には入っていく。

 そして、すぐさま荷物を家の中において、エウィルダのもとへと歩いてきた。

 「さ、どうぞ」

 「は、はい」

 どこか陶然となって足元が覚束なくなっていたところでそれを察したのか否かタツヤがそばへとよってレイの頭をなでてエウィルダをエスコートしていった。

 

 「とりあえず、さしあたってなかに一緒に入りましょう。込み入った話もありますし、エウィルダさんにはもしかしたら頼みたいこともありますし」


 そう話し、一緒に綺麗に舗装され掃除された道の上を歩き、家の中へと入っていった。


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