わたしは此処にいる
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"そこ" は、”約”半分であり…
――半分ではない場所。
目盛を0から始めると、"1" のうち 1 に当たる場所。
目盛を1から始めると、"2" のうち 2 に当たる場所。
目盛を0から始めると、"2" のうち 2 に当たる場所。
目盛を1から始めると、"3" のうち 3 に当たる場所。
目盛を0から始めると、"3" のうち 2 に当たる場所。
目盛を1から始めると、"10" のうち 6 に当たる場所。
目盛を0から始めると、"10" のうち 6 に当たる場所。
問題は――
<小数点以下を算出すれば解決するものではない>
――事は、数学者なら誰でも知っている。
"そこ" は、それぞれの数の領域の中で、最端に位置している
――中心点から最も遠い場所。
それでも、その数の中に属している事に変わりはない。
しかし、
"そこ" が「ピン」だとすると
――同じ領域の中……
「キリ」がある。
そして「ピン」と「キリ」は相容れない
――中心点からの距離は同じであろうとも。
"そこ" (ピン的場所)は――
全体の中で<半分>に最も近いが………
――<半分>には含まれない場所。
"半分" より大きいが、<半分以上>の中では最も小さいのだ。
そして "そこ" は
――常に
自分の前から
<含まれる事>
を拒否されている。
それでも自分が "半分" の中に含まれていると誤解する者もいる。
"半分" 以上にいる事に安心を覚える者もいる。
どちらにしろ――相手にならない。
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"蜘蛛宇宙人" の目の前で、雨足が弱まっていた。
"蜘蛛宇宙人" は、音で確認していた。
滝壺の様なシャワー音から――はぜる音へ。
連続的なものが断続的になろうと、
"蜘蛛宇宙人" は――
雨に巻き込まれたくない
――と思った。
「しと……」
「しと…」
と
……ひとつぶ
ふたつ………
――と垂れる程度まで収まる。
そして、ほとんど落ちなくなった。
それでも――水が消えた訳ではなかった。
水は
地点の真ん中を分ける<面>
の上に溜まり――離れなかった。
"蜘蛛宇宙人" の視点からでは
ロッククライミング用施設にある壁
の様に見えた。
大量の
――豆絞りの如き
水の半円が
――プリンの様に
――面の上
横揺れしていた。
そして――縮小していった。
"蜘蛛宇宙人" は
――ある瞬間
<面>がなくなっている事を知った。
手を伸ばしてみた。
何も触れなかった。
"蜘蛛宇宙人" は踏み出した。
<面>が在り、雨が降っていた地点――
その足場は、ひどくぬかるんでいた
――半分だけ。
同じ場所にい続けようとする……――踵が横に滑っていく。
足の側面が地に弧を描く。
抉りながら脇へ寄せられる――白マテリア。
足の位置を変える。
乾いた方も――釣られる。
新しい足跡――定まらない足跡。
"蜘蛛宇宙人" が格闘していると――
声がした
――背後から。
それは "ω" の声だった
――それは、こう聞こえた。
「わたしは此処にいる――
わたしを食べて…。
わたしを食べて!」




