わたしは此処にいる
突然、腕の中でタブレットが震えだした。
驚いた "蜘蛛宇宙人" は、物を落とした
――スコップも
――ライトも。
スコップが地面に突き刺さる。
ライトが転がり…
――黒い空間に……
光がうねる。
そして――止まった。
止まったライトは
――"蜘蛛宇宙人" がいる方角とは
逆を照らしていた。
見える物は――白と黒。
だからこそ
――黒の中………
――"蜘蛛宇宙人" には
――新たに生まれた
別の光が
――際立って
見えた。
ライトの光とは、異なる光源。
それは、揺れていた。
それは
――ライトの眩さの中では……
見分けがつかないだろう<光>であった。
微かなそれ。
それは、床の上で振動を続けていた…――
「ぶ」
――の連続した音を立てながら。
動く光は
――闇の中
靄の様に見える。
平面から立ち上る様に見えるのだ。
そして――
光と連動する物の振動は、白マテリアに伝わっていた。
釣られて動く塊たち。
そして横揺れが止まる
――それでも……
光は消えなかった。
タブレットから光は消えなかった。
ルートがはったその光は
――芝地の中心に設置される
<スプリンクラー>――
それが放つ<水>の様に見えた………。
音は
――もう……
しなかった。
"蜘蛛宇宙人" は、
少し離れた場所にあるライトを取る――
その前に
――タブレットを取った。
表面には、
光の中――
「continuum hypothesis」
――の文字が残っている
――色濃く。
ただ――それだけではなかった。
「continuum hypothesis」の下に、
新たな文字が
――薄く…
透けて見えた。
サッチ――パリンプセスト。
――――――――――――――――――――――――
そして
――クラスによって……
濃度は差異化されるのだ。
(※ この<濃度>は「cardinality」という意味ではない)
――――――――――――――――――――――――
その透けた文字は――
ひとつ
――ではなかった。
「continuum hypothesis」
――という文字とクロスしていない文字も在った。
数字も在った………
――というより
――数字が殆んどであった。
それぞれ――
近く在ったり……
――離れて在ったり…。
……ただ――
その、新たにあらわれた記号(文字と数字)が
どの様であろうとも………――
同じ濃さ
――同じ<層>。
"蜘蛛宇宙人" は
――タブレットを持ったまま…
床に転がったライトまで近づき、
腰を曲げて掴んだ。
中腰になって
――ライトをタブレットに当て
光を添加する。
そして……――
新たにあらわれた文字を読んだ。
吟味して――読んだ。




