わたしは此処にいる
「早く行けよ」
それは、濡れた声だった。
"蜘蛛宇宙人" は
――声のする方へ
顔とライトを向けた。
"鳥頭" は動かなかった――
ただ嘴だけが上下する。
「早く行け…
――お前にとって、俺なんかどうでも良いんだろう?
早く出口を見つけてこい!」
ただ瞳孔だけが
――左右に
――澱みなく
動いていた。
そして――
潤んでいた。
「お前は、すごいんでしょ?
――はいはい。
何が<コンティニュームハイポセシス>だよ……――
<コンティニュームハイポセシス>が何だって言うんだ!!
それが人を食わせてくれるのか?
それが人を苦しみからすくってくれるのか!!!?
何の役にも立たない数字――
俺はそんなのやるほど暇じゃねぇ!!
お前と違って忙しいんだ!
お前は出来るんだろ?
――なら、こんな所でぐだぐだしてねぇで、やれよ。
ひとりで勝手にやってろよ!!」
"蜘蛛宇宙人":
「やってますけど」
――――――――――――――――――――――――
テンプレは
――テンプレであり続ける限り………
コンストラクティブルではない。
それでもテンプレが大勢の口から消える事はない。
他に言う事がないのだし、
多くは黙りたくないのだ。
――――――――――――――――――――――――
その後――
誰も
――何も
音を出さなかった。
そして
――静かに
"蜘蛛宇宙人" が立ち上がる。
それでも音がゼロという訳ではない――
行為しているのだから。
直立すると、"蜘蛛宇宙人" は手袋を嵌めた。
そして、何も言わなかった。
続いて "蜘蛛宇宙人" は床に置いた――
スコップ
ライト
タブレットの一番大きな欠片
――を手に取り
――腕を椀の様にすると
左の道に向かって歩き出した――
"鳥頭" を視界から外して。
声がする。
「早く行け」
「お前と一緒にいたくない!!!」
「お前なんか……」
「お前なんか!!」
地点(A)を離れた後、"蜘蛛宇宙人" の背後に気配はない。
そして――
これが――
"蜘蛛宇宙人" と "鳥頭" の――
<『あるぼーる・かえるら』前のたたかい>
――である。




