わたしは此処にいる
横に
――末広がりに…
――愚直に……
放出を続けていた光の向きが
――"蜘蛛宇宙人" から見て左へと………
変化する
――漸次的。
それを、"運転手" の目が追いかける事はない。
"運転手" を中心に捉えていた光の焦点が
――外れ
凋み
――再び
拡大。
ライトが四十五度左へ曲がると――
トンネルが現れる。
奥が黒――あとは白。
"蜘蛛宇宙人" は歩き始めた……
――それを "運転手" が感じ取る。
"運転手":
「どこへ行く?」
"蜘蛛宇宙人" は無視した。
「…どこへ行く?」
"蜘蛛宇宙人" は無視した。
「おい、人が訊いているんだ!」
"蜘蛛宇宙人" は歩き続ける
――光と共に。
――――――――――――――――――――――――
ヒステリーである自分を
<口達者>
と勘違いする者は珍しくない。
――――――――――――――――――――――――
"運転手" は音のする方へ踏み出そうとした……
――そして壁。
そして感じるのだ――不安を。
"運転手":
「ちょっと待て!」
"蜘蛛宇宙人" は歩みを止めなかった。
最早――
距離は――
≧<t>。
"運転手" は壁伝いに――蟹歩き。
壁が終わる。
安堵する。
ただ………――その先にあるのは空間。
ダンジョンに来たばかりの "運転手" には未知なる空間。
視神経の――長い闇。
"運転手" は指先を伸ばす
――何も触れない。
"運転手" は目を見開く
――しかし、何も見えない。
そして――
"運転手" は先に進むのを躊躇する。
「待ってくれ!!」
そして――取り残されていた。
音は、聞こえなかった。
――――――――――――――――――――――――
沈黙と闇に耐えられない者は珍しくない。
――――――――――――――――――――――――
"運転手" が
「おい!!!」
と叫ぶ。
「おーい!!」
と返事がある
――それは "運転手" 自身の声である。
"運転手" が
――再び
「おい!」
すると
「おーい!!」
――やはり自身の声。
三度目を行おうとして――
"運転手" は止めた。
"運転手" は呆然と立つ。
辺りを探り始めた。
触れると――
「ぽろぽろ……」
――崩れゆく
壁と地面。
天井には――手が届かない。
そして他は――何もない。
何も、ない。
"運転手" は手袋を脱いだ――
壁の感触が変わる。
それを指先で弄んだ。
しかし
――幾ら触れようとも
色を知る事はない。
ただ――マテリアは湿気ていた。
最後に "運転手" は――
<方角を失った>
――事を知る。
"運転手" は、崩れ落ちた。
泣きはしなかった
――喚きはしなかった。
"運転手" は
――その時
自身に感情がない事に、気がつかなかった。
"運転手" は
――ずっと
――「ぼんやり」と…
地面を掘っていた――
指先で。
白を失った白マテリアを
――黒の中
弄ぶだけ。
そのうち
――自身を取戻し
進み出す。
仲間を探すのだ……
――出口を探すのだ。
そして進む度に、"蜘蛛宇宙人" への<恨み>が蓄積されていく。
進む "運転手" は暫く気づかない………
――向かっている先は
――先程通過した
地点(A)であるという事。
そんな "運転手" が地点(A)に辿りつく前に――
"蜘蛛宇宙人" は、次の地点に到達する。




