表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/153

わたしは此処にいる

 "蜘蛛宇宙人" は、スコップを引き寄せる




 ――同時に "運転手" も




 「一歩」




 ――引き寄せる事となる。




 "蜘蛛宇宙人" は柄を掴み――


 スコップの向きを逆にした。




 同時に起こる事――


 "運転手"――




 「また一歩」




 ――その接近は止まらない。




 "蜘蛛宇宙人" はスコップを武器としては使う事が出来ない

 ――"運転手" とは違うのだ。




 それに

 ――たとえ使うつもりになろうとも…

 片手はライトで塞がっている。




 ――――――――――――――――――――――――


 スコップを地点から地点に持ち運ぶには、片方で十分だろう……

 ――それでも………

 それを使用する為には、両方が必要である。


 ――――――――――――――――――――――――




 "蜘蛛宇宙人" は

 ――背を向けて

 急ぎ足となる。




 トンネルの中――


 光の輪が動く。




 光は

 ――動く度に

 ――ダンジョンの表層である

 <白>を剥き出しにする。




 丸く

 ――黒の中から

 浮かび上がっては沈む

 マテリアの色。




 光の動きはランダムだが……

 ――平均を取れば…


 「8」の字の動きだ。




 声がトンネルを木霊し――追いかけてくる。




 「さぁて……どこまで――持ちこたえられるかな………?」




 それは遠い――




 "蜘蛛宇宙人"、"運転手" 間の距離は

 ――その時……

 <t>より大きかった。




 "蜘蛛宇宙人" は走り…――




 行き止まり。




 次の地点に到達したのだ。




 ――――――――――――――――――――――――


 そこは、地点(F)に似た場所だ

 ――そしてそこを再び「地点(F)」とでも呼ぼう。


 勿論、その地点は以前と同じではない――


 <アポストロフィ>でも付けて、その差異を際立てようかと考えた――


 が――


 "蜘蛛宇宙人" は

 ――ダンジョンの中

 同時に<違う地点>にいる事が出来ないのだ。


 地点(F)という表現で十分だろう…。


 ――――――――――――――――――――――――




 その地点から先は、行けなくなっていた――


 前に壁があるのだ。




 左に壁があるのだ。




 直角に右へ折れる先も<行き止まり>に為っている。




 ただ、右の壁だけは

 ――<前>と<左>のそれとは異なり……

 壁龕の様な抉れがあった。




 立ち止まり、"蜘蛛宇宙人" は考える。




 《この抉れの中(「Ω」)に隠れるか?………》




 《……だめだ――すぐに見つかるに決まってる!》




 それでも、八方塞がりではない。




 唯一…――


 右へ斜め四十五度折れた道が在る。




 ――――――――――――――――――――――――


 即ち、地形は以下の様になっているのだ。




         (↑×)

 地点(A) → 地点(F)(→×)

       ↙  ↓

      ↙  「Ω」

    地点(?) (↓×)


 ――――――――――――――――――――――――




 《斜めの道を進むか…?》




 "蜘蛛宇宙人" は、手に持ったスコップに目をやった。




 ――――――――――――――――――――――――


 大勢は、復讐劇で溜飲を下げるのだろう。


 直ぐに物語へ引き込む様な楽しさ――


 勧善懲悪。


 しかし、"蜘蛛宇宙人" は

 ――たとえ落ちようとも…

 落とそうとはしない人間である!!


 ――――――――――――――――――――――――




 その時だった!!!




 「おい!! ライトを消したって無駄だぞ!」




 声に引かれ、"蜘蛛宇宙人" は振り返った。




 トンネルの中、大きな人型フィギュアが在る。




 円を分かつ直線。




 "運転手" はライトを前面に受けて――


 引こうとはしない。




 「ライトを消して逃げようったって

  そう簡単にはいかないからな……」




 それが――




 「ぽつり」




 ――とトンネルに響いた。




 そしてその人影は

 ――また一歩

 踏み出した。




 輪郭がすこし拡大した。




 一拍遅れて "蜘蛛宇宙人" は<異変>に気がついた。




 状況と言動の不一致。




 "蜘蛛宇宙人" は自分の手元を見た。




 ライトは灯ったままだった。




 "蜘蛛宇宙人" はライトを

 ――左右に

 ――小刻みに

 揺する………。




 ほとばしる光が揺れる。




 "運転手" は

 ――ただ……

 踏み出す。




 「かくれんぼでもしているつもりか?」




 ――笑い声が響いた。




 その時、"蜘蛛宇宙人" は、はっきりと見た。




 直立歩行する "運転手" は、目を開いていた――




 そして、何も見てはいない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ