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わたしは此処にいる

仲間など、求めていませんから。

友達なんか、求めていませんから。


欲しけりゃ別を探します。


大勢が示しているでしょう?

――"仲間" と "友達" と そのお追従に包まれた<無能>の輝き

――優れた者への攻撃と無視。


テンプレ。


現実と同じ。


自分の無能さを、証明したくなど、ありません。



 "運転手" は攻撃態勢のまま――




 「諦めろ!」




 "蜘蛛宇宙人" の腹部にスコップの先が刺さる――




 貫通はしない




 ――それでも肉体に伝わる




 ――衝撃。




 内臓への――バイブレーション。




 「が!!…」




 "蜘蛛宇宙人" は、息が出来なくなる。




 ――――――――――――――――――――――――


 同じ主張――違う道。

 同じ経験――違う結果。


 ――――――――――――――――――――――――




 「諦めろってば……

  ――"みんな" に合わせるんだよ………」




 腹から、スコップが引き抜かれる――


 "蜘蛛宇宙人" は崩れ落ちる。




 それに伴い――




 ライトの光が――




 地に落ちていく。




 "運転手" が見下していた。




 「人間にとって重要な物は――恋愛!!!

  人間にとって大切な物は――友情!!

  人間が好奇心を抱く対象は――性と暴力!

  人間が欲しているのは――笑い!!




  人間に求められてない物は――無価値。




  無価値なんだ!!!




  求められない事をするお前は




  む




  か




  ち。




  俺達は無価値なんだ。




  俺達は社会に求められていないんだよ……。




  好きな事がしたかったら、隠れてやるんだよ…。




  見せつけちゃダメなんだよ……。




  お前の為を思って言ってるんだよ。




  社会では、

  <わかりやすい絵>と<わかりやすい台詞>だけが

  求められているんだよ………。




  馬鹿にとって、わかりやすい物が<王様>なんだよ!!




  そして馬鹿こそが<王様>なんだよ。




  だから――諦めて、<王様>に従え!




  不愉快だ――土下座しろ!!




  "みんな" に謝罪しろ!!!」




 その時、"蜘蛛宇宙人" が呼吸した。




 光がコンクリートの床に

 ――長く

 伸びていた。




 "蜘蛛宇宙人" はライトを手放して、いなかった。




 床に膝を着いた "蜘蛛宇宙人" は相手を見上げる。




 顔色は見えない。




 "運転手":


 「無価値の癖に<諦めない>なんて生意気なんだよ……。

  努力し続けるなんて生意気なんだよ…。


  俺達が

  ――これまで

  こんなに辛い思いして従ってきた――

  そして気を使ってきた――


  社会


  ――それを気にせずに

  <何かを見つけよう>

  なんて、生意気なんだよ!!」




 暗くとも、唇が捻じ曲がっているのが見える

 ――それを<笑い>と人は云う。




 相互が微かに見える程度の暗さの中で、

 "運転手" の荒い息が――




 木霊す。




 木霊す――




 そのチューンが、"蜘蛛宇宙人" の呼吸と揃う。




 それに気がついた "運転手" が音を消す。




 蹲っていた "蜘蛛宇宙人" は動き出した

 ――ライトが空間を照らす

 ――右から左……

 ――弧を描く様に………。




 そして――




 道を明らかにする。




 "蜘蛛宇宙人" から見て――左。




 トンネル。




 "蜘蛛宇宙人" は這う


 ――道に向かって。




 次の地点に向かって!




 背中に声が降り注ぐ。




 「まだ無駄な足掻きをすんのか……。

  こっちが下手に出てりゃ、いい気になりやがって…。

  お前はそんなに特別か?」




 "蜘蛛宇宙人" は前進する

 ――生産性のない前進。




 思考の影響の少ない――反射的な行動。




 這い続ける。




 "運転手" の攻撃が追いかけてくる――




 「本当の能力は、社会には邪魔なんだ!!


  本物の力は要らない!!!」




 《走ろう》




 と立ち上がりかけた "蜘蛛宇宙人" の背中に

 <何か>

 が当たった――




 強い力で……。




 集合論で扱われる記号パワーよりも大力。




 数字より破壊的――そんな文字。




 ――――――――――――――――――――――――


 言葉の残虐性に立ち向かう事が出来るのは、言葉だけだ。

 言葉によって防ぐのだ!


 ――――――――――――――――――――――――




 背を攻撃された "蜘蛛宇宙人" は

 ――トンネルの中

 前のめりになり――

 倒れた。




 ライトは離さなかった。




 一言も「痛い」と漏らさなかった。




 息苦しい中

 ――暗い道の中

 ――必死で

 振り返り

 <何が当たったか?>

 を見た。




 スコップであった。




 感情に塗れていた。




 「そこで待っていろ!!」




 ライトを向けると――人の影。




 中身のない――シルエット。




 光の中

 ――人の形にくり抜かれた

 闇。




 "蜘蛛宇宙人" は相手の言う事を聞くつもりがなかった。




 「ぺた」




 ――と

 ――足音。




 "蜘蛛宇宙人" は

 ――背に手をやろうとしながら

 ――我慢し………

 ――空いた方の手で

 スコップを掴んだ

 ――スペードの部分の端を握った。




 その時!




 「スコップは置いて行けよ!!

  お前にはいらないだろう!!!?

  特別なお前には、いらないだろ!!?」




 「いやだ!」




 ――"蜘蛛宇宙人" は叫んでいた。




 「嫌だ!!

  オレは諦めない!!!

  ぜったい従わない!!」



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